解説今回の習国家主席の欧州歴訪は、フランス以外はセルビアとハンガリーという、欧州の中でも特異な親露・親中諸国のみになっている。これが、欧州・中国関係の現段階を示しているともいえる。両国には中国からの投資への期待がある他、EUへの当てつけとして習氏訪問を内外で使おうとしている。セルビアとハンガリーによる「擦り寄り」は、中国にとっては心地よいかもしれないが、その他の欧州諸国における対中認識の悪化を加速させることにもなる。中国政府にそうした点への考慮はなさそうだ。
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コメンテータープロフィール
専門は国際安全保障、現代欧州政治。慶應義塾大学法学部卒。同大学大学院、米ジョージタウン大学大学院で学び、英ロンドン大学キングス・カレッジ戦争研究学部で博士号(PhD)取得。在ベルギー日本大使館専門調査員(NATO担当)を経て、2009年から2017年まで防衛省防衛研究所教官、主任研究官。その間、防衛省防衛政策局国際政策課部員、英王立防衛安全保障研究所(RUSI)訪問研究員等を務める。2017年から現職。著書に『欧州戦争としてのウクライナ侵攻』(新潮選書、2023年)、『EU離脱』(ちくま新書、2020年)等。また、2023年から2024年までオーストラリア国立大学(ANU)訪問研究員。
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