解説犯罪が起きると、刑罰規定の適用による処罰の必要性が生じます。刑法規定は、国内で起きた事件に適用されるのが原則です。今回は、中国の刑法規定が適用されることになります。 他方で、一定の条件により、日本の刑法が国外で起きた事件に適用されることもあります。例えば、日本人が海外で殺人を行った場合は、その国の刑法と併せて、日本の刑法も適用されます。加えて、日本人が海外で被害者となった場合も、日本の刑法が適用されます。本件のような殺人罪が対象で、平成15年に導入された規定です。これに伴い、必要とあれば、日本国内で日本の警察が捜査をすることも可能です。 日中両国で共同して、事件の処理と再発防止に向けた対応が求められます。
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コメンテータープロフィール
旅行会社勤務を経て29歳で立命館大学に入学し、3年生の時に司法試験に合格。卒業後は京都大学大学院法学研究科に進み、刑事法を専攻。2005年に近畿大学法学部専任講師となり、現在は教授。2011年から2012年にかけて、ドイツ・アウクスブルク大学客員教授を務める。専門は刑事法全般(特に刑事訴訟法)。著書は、『刑事訴訟法』、『刑事手続における審判対象』、『刑事弁護の理論』(全て単著)。法学博士。趣味は洋画鑑賞、水泳、見る将(大山・中原時代からの筋金入り)。