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辻本典央

辻本典央認証済み

認証済み

近畿大学法学部教授

報告

解説スポーツの競技中の出来事ですが、法に触れる行為があれば、処罰の対象戸なる可能性もあります。本件はアメリカでの出来事でしたが、これを日本の刑法に当てはめると、①暴行罪(負傷すれば傷害罪)及び➁威力業務妨害罪に該当します。 ①暴行罪は、人の身体に対して有形力(物理的な攻撃)が加えられ、それが違法となる場合に成立します。今回の行為は、形式的にこれに該当することは確かであり、かつ、具体的な状況において観客の立場でプレー中の選手の行為に手を出すことは違法です。また、選手が擦り傷や打撲などの傷を負った場合は、傷害罪です。 ➁威力業務妨害罪は、他人が行っている業務を、その人の意思を制圧するに足りるような力(勢力)を用いて妨害した場合に成立します。選手のプレーが業務に該当することは確かであり、飛び込んだ選手の腕をつかむ行為は、本罪の勢力と認められるものです。

コメンテータープロフィール

旅行会社勤務を経て29歳で立命館大学に入学し、3年生の時に司法試験に合格。卒業後は京都大学大学院法学研究科に進み、刑事法を専攻。2005年に近畿大学法学部専任講師となり、現在は教授。2011年から2012年にかけて、ドイツ・アウクスブルク大学客員教授を務める。専門は刑事法全般(特に刑事訴訟法)。著書は、『刑事訴訟法』、『刑事手続における審判対象』、『刑事弁護の理論』(全て単著)。法学博士。趣味は洋画鑑賞、水泳、見る将(大山・中原時代からの筋金入り)。

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