見解ホテルの料金は需給バランスで決まるということでは、ダイナミック・プライシングという言葉も広く知られるようになったが、いまの高騰の動きにはコロナ禍での低廉な価格からの脱却を目指すべく、業界団体など率先したある種政策的な“動き”があったことも補足したい。 高騰という点では2020年冒頭まで、すなわちコロナ禍前の(政府主導による)インバウンド活況時も同様の傾向はあったが、宿泊特化型(ビジネスホテル)タイプでいえば、実は2018年夏頃には京都で稼働率の低下、ADR(平均客室単価)の下落いった兆候が出始めていた。これは訪日外国人旅行者の激増に間に合わすべく、短期間での開業が期待できる簡易宿所をはじめ宿泊特化型の供給過多によるものだった。 また高騰話については、大都市や人気観光都市とその他を冷静に見る必要がある。山あれば谷あり-サービスが価格と見合っているか。日本人旅行者はシビアだ。
コメンテータープロフィール
1971年生まれ。一般社団法人日本旅行作家協会正会員、財団法人宿泊施設活性化機構理事、一般社団法人宿泊施設関連協会アドバイザリーボード。ホテル評論の第一人者としてゲスト目線やコストパフォーマンスを重視する取材を徹底。人気バラエティ番組から報道番組のコメンテーター、新聞、雑誌など利用者目線のわかりやすい解説とメディアからの信頼も厚い。評論対象はラグジュアリー、ビジネス、カプセル、レジャー等の各ホテルから旅館、民泊など宿泊施設全般、多業態に渡る。著書に「ホテルに騙されるな」(光文社新書)「最強のホテル100」(イーストプレス)「辛口評論家 星野リゾートに泊まってみた」(光文社新書)など。
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