解説記事で報じられているのは「住宅型有料老人ホーム」で、都道府県知事への「届出」で設置できるものです。特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームは「許可」「指定」という都道府県知事の厳しいチェック•規制を受けますが、住宅型有料老人ホームは規制も緩く、その分、コンプライアンスや入居者の権利擁護をめぐる不祥事も少なくありません。 また、他の高齢者介護施設と比べ、先行投資•資金が少額で開設が可能であり、その結果、経営スキルや高齢者福祉の熱意に乏しい事業者の安易な参入も目立ちます。 こうした背景が記事のような事態を招いたのではないかと考えられます。一斉退職した職員を責めることはできません。 なお、(住宅型有料老人ホームを含め)すべての老人ホームは、閉鎖•閉業する際に、入居者の転居先の調整や生活の継続への対応を行う努力義務があります。老人福祉法等に規定されていることであり、事業者にはその遵守が必要です。
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コメンテータープロフィール
1964年・島根県生まれ。1986年から医療ソーシャルワーカーやケアマネジャーの実務を経験し、2005年から東洋大学で介護福祉士などの福祉専門職養成と高齢者福祉・介護保険制度・ケアマネジメントの研究を行う。社会福祉士・介護支援専門員。