解説国が安田純平さんに対し旅券発給拒否した直接の理由は「トルコが安田さんに対し入国禁止措置を取った」＊ことですが、特定の国にのみ行けない限定旅券を発給するという代替措置もある中、たったトルコ一国の入国禁止措置で、他の日本と国交のある194ヵ国に行けなくしてしまうというのは、あまりにもバランスが悪く、「外務大臣の裁量権の逸脱・濫用」という東京地裁の判断は、極めて妥当だと思います。 安田さんに対し「外務省の退避勧告を守れ」という主張もありますが、勧告はあくまで勧告であって法律ではありません。「ルールを守れ」的な主張をする人々が国の最高法規憲法で保障された「居住・移転の自由」や「報道の自由」を軽視するのは、ダブルスタンダードも甚だしいと言えます。 ＊旅券法13条の１では「渡航先に施行されている法規によりその国に入ることを認められない者」に対し外務大臣は旅券を発行しない判断も出来るとされている。
コメンテータープロフィール
パレスチナやイラク、ウクライナなどの紛争地での現地取材のほか、脱原発・温暖化対策の取材、入管による在日外国人への人権侵害etcも取材、幅広く活動するジャーナリスト。週刊誌や新聞、通信社などに写真や記事、テレビ局に映像を提供。著書に『ウクライナ危機から問う日本と世界の平和 戦場ジャーナリストの提言』（あけび書房）、『難民鎖国ニッポン』、『13歳からの環境問題』（かもがわ出版）、『たたかう！ジャーナリスト宣言』（社会批評社）、共著に共編著に『イラク戦争を知らない君たちへ』(あけび書房)、『原発依存国家』(扶桑社新書)など。
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