解説解散総選挙は、果たして岸田首相の下でできるのだろうか? そうした疑念を多くの自民党の国会議員、自民党員が持ってしまったというのが補選の結果である。 「保守王国」という地盤で、前職の国会議員が死去したことによる「弔い合戦」を描くこともでき、さらに現職の首相が2回も選挙区に入り、「選挙戦最終日」も遊説に入るという力の入れようの中で、敗北した。 「島根で負けたんだから、ほかのところでも岸田さんじゃ勝てない」という声は、その実感としての真実を表しているだろう。 閣僚、党役員人事で人気の浮揚を図り、秋の総裁選を狙う首相にとっては、厳しい結果であることは間違いがない。今後の国会での論戦で、政権浮揚のチャンスをうかがうところとなる。
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コメンテータープロフィール
日本政治法律学会理事長。博士(政治学)。日本の政治、選挙、政策変容を中心に、それとの比較で海外の政治変容にも関心を持つ。東京、地方での講義、講演、出演依頼は可能な限り喜んで引き受けている。というのも多様な地域の大学での研究、講義経験や、政治家、ジャーナリスト、研究者、市民からの示唆は、自分の糧であり、その交流は喜びである。国内では静岡大学助教授、長崎県立大学専任講師、海外では英国オックスフォード大学ニッサン日本研究所、オックスフォード大学ペンブローク・カレッジ客員フェロー、ドイツ連邦共和国マンハイム大学客員教授、ノルウェー王国オスロ大学客員研究員等、学会では日本政治学会理事なども歴任した。