裏金事件の責任を取ると岸田首相
共同通信
解説これまで指摘されてきた「責任を取らない総理」というのを、ここで責任を取って辞めることで「責任を取る」ということなのだろう。 しかし問題は、「政治とカネ」にまつわる「裏金事件」だけではない。 世論の反対を押し切って行った「国葬」の問題や、自らの関与も指摘された「旧統一教会」との問題も、これまで責任は取っては来なかった。 こうしたものに対するけじめ、というのは聞こえが良いが、それに対処する場当たり的な「派閥の解消」「総理の政倫審への出席」などの岸田サプライズによる党内の怨嗟の声に耐え切れなかった、というのが実情かもしれない。 筆者は今回の行動が「最大のサプライズ」と考えるが、不出馬(事実上の早期辞任)会見が「最大のサプライズ」というのも皮肉である。 しかし、総裁選まで1か月という早期の不出馬表明だけは、これからじっくりと政策論議ができるという意味においては、評価できるのかもしれない。
日本政治法律学会理事長。博士(政治学)。日本の政治、選挙、政策変容を中心に、それとの比較で海外の政治変容にも関心を持つ。東京、地方での講義、講演、出演依頼は可能な限り喜んで引き受けている。というのも多様な地域の大学での研究、講義経験や、政治家、ジャーナリスト、研究者、市民からの示唆は、自分の糧であり、その交流は喜びである。国内では静岡大学助教授、長崎県立大学専任講師、海外では英国オックスフォード大学ニッサン日本研究所、オックスフォード大学ペンブローク・カレッジ客員フェロー、ドイツ連邦共和国マンハイム大学客員教授、ノルウェー王国オスロ大学客員研究員等、学会では日本政治学会理事なども歴任した。