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佐々木正明

佐々木正明

認証済み

大和大学社会学部教授/ジャーナリスト

報告

解説プーチン大統領の常套句だ。 敵対する相手には、決して相手が飲めないような条件を出して交渉に迫る。 バザールの商人の値段交渉のように、釣り合わない状況に妥結点を見出だすような雰囲気になれば、自分も降りていって寛大な態度をとる。 結局は有利な条件で交渉を進めたいだけ。日本との北方領土交渉の構図と一緒だ。 「ロシアは交渉の窓を開いている」などと言うが、それは決して相手側の条件で政権は交渉に応じる気はないというのが本音なのだ。 そもそも、プーチン政権にとってウ南部4州は露領土。露国営放送がテレビで流れ、通貨ルーブルが使われ、日常も露の暦で動く。 国内向けに、強硬な態度を貫かなければ、プーチン氏の威光に傷がつく。だからこそ、わざわざ無理な条件を口に出してプロパガンダを行う。 戦争の継続は犠牲が膨らみ、露の未来を危うくする。綻びは各地で見られる。 早期停戦は、露側こそ実現したい状況だろう。

同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 鶴岡路人

    慶應義塾大学総合政策学部准教授

    解説現在占領している部分のみならず、4州全域からのウクライナ軍の撤退、つまりさらなる領土の要求だとすれば…続きを読む

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    上智大学総合グローバル学部教授

    補足アメリカ、日本、欧州を中心にG7でウクライナ支援が強化されるタイミングを見て、ロシアからの強烈な反発…続きを読む

コメンテータープロフィール

佐々木正明

大和大学社会学部教授/ジャーナリスト

岩手県一関市生まれ。大阪外国語大学ロシア語学科(現・大阪大学)卒業後、産経新聞社入社。モスクワ支局長、リオデジャネイロ支局長を経て、運動部次長、社会部次長などを歴任。2021年より現職。専門分野はロシア・旧ソ連諸国情勢、国際情勢に加え、オリンピック・パラリンピック、捕鯨問題などにも詳しい。フィギュアスケート関連ではNumberなどにも寄稿。単著に「シー・シェパードの正体」(扶桑社新書)「環境テロリストの正体」(新潮新書)。近著は「動物の権利」運動の正体(PHP新書)

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