解説岸田首相やこの秋に自民党新総裁になる方は、中西さんの救出に向けて全力を注ぐべきだ。 中西さんは善良な日本語教師であって、スパイではない。 邦人保護こそ国家の在り方だ。救出をめぐる構図は北の拉致事件と一緒だ。総裁選で中西さんの救出を述べた方を私なら支持したい。 事件はベラルーシにとって「ウクライナを支援する日本は敵国である」ことを示すプロパガンダに使われている。 拘束されたのは7月らしい。政権はこの2カ月の間、公表するベストなタイミングを選び、しかも「東京から来たサムライの失敗」などと仰々しいタイトルの国営番組まで作り、9月3日の対日戦勝記念日まで引き延ばしたのだ。 日本にとってベラルーシの国境情報など価値もない。露語での中西さんの供述も当局に言わされているのだ。露語であればロシアにも伝わる。プーチン政権の歓心を買うためだ。 外務省も粘り強く交渉にあたり、なんとか糸口を見つけ出してほしい。
コメンテータープロフィール
岩手県一関市生まれ。大阪外国語大学ロシア語学科(現・大阪大学)卒業後、産経新聞社入社。モスクワ支局長、リオデジャネイロ支局長を経て、運動部次長、社会部次長などを歴任。2021年より現職。専門分野はロシア・旧ソ連諸国情勢、国際情勢に加え、オリンピック・パラリンピック、捕鯨問題などにも詳しい。フィギュアスケート関連ではNumberなどにも寄稿。単著に「シー・シェパードの正体」(扶桑社新書)「環境テロリストの正体」(新潮新書)。近著は「動物の権利」運動の正体(PHP新書)