解説女川原子力発電所2号機は82.5万キロワット出力なので、約80%の設備利用率では、年間約60億kWhの電力を供給できます。日本の電力需要は約1兆kWhなので、0.6%を占めます。日本が生きていくために必要な電力量は、極めて大きく、産業振興のためにも、安定で大量の電力が必要になります。 再生可能エネルギーも重要ですが、変動電源では産業では使えません。雨が降っても風が止まっても、産業には安定に電力を供給しなくてはなりません。今、75%程度の電力は火力発電所で供給されている現状があります。しかし、火力は二酸化炭素を出しますし、ほぼ輸入のため中東情勢など国際情勢にも大きく依存します。脱炭素、少ない燃料で、長期間安定に発電できる原子力発電所が少しづつ増えてきているのは、エネルギー安全保障の観点からも大変有効です。 国が策定しているエネルギー基本計画でも、空想ではなく現実に即した議論が必須です。
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コメンテータープロフィール
専門は原子力工学。東京大学大学院工学系研究科原子力専攻教授。東京大学にて、30年以上にわたり原子力安全、原子力熱流動などの研究教育に従事。月刊誌エネルギーレビューに、コラム「原子力何でもQ&A」を10年以上にわたり連載中。
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