Yahoo!ニュース

岡部卓

岡部卓認証済み

認証済み

新潟医療福祉大学教授・東京都立大学名誉教授

報告

補足親の遺体放置として出された事例は、社会の有り様の一端があらわれている。 1つは、遺体を放置しなければならないほど経済的に困窮をしていたこと、2つには、家族、地域、職場等の関係性が希薄・喪失化し社会的に孤立していたこと、3つには、制度に対する情報の周知や理解がされていなかったこと等である。 心理的抵抗があるにしても、困っている時に助けてと周囲に発信できないほど本人は疲弊、また関係性を取り結べないほど孤立状態に置かれていたのであろう。 本記事で記されている介護離職後に遺体放置した事例は、生活保護制度における葬祭扶助の適用も考えられ、また借財は行政や法テラスで相談してもよかった。もう一つの、老親に経済的に依存している事例も葬祭扶助も含めて生活保護制度や介護・障害等他制度の適用が考えられる。 孤立化はさまざまなところで進んでいる。人と制度を取り結ぶことが必要となっている。

同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 高野龍昭

    東洋大学 福祉社会デザイン学部 教授/介護支援専門員

    解説この記事で報じられているような事件は、2000年代に入って以降、増加しているように感じています。「格…続きを読む

コメンテータープロフィール

岡部卓

新潟医療福祉大学教授・東京都立大学名誉教授

新潟医療福祉大学教授・東京都立大学名誉教授。貧困・低所得問題を中心として研究・社会的活動を行う。専門は社会保障論、社会福祉論。日本社会事業大学・社会事業学校教員、東京都立大学教授、明治大学教授を経て2024年4月より現職。著書として『生活困窮者自立支援-支援の考え方・制度解説・支援方法』(編 著、中央法規)、『貧困問題とソ ーシャルワーク』(共編、有斐閣)、『生活保護における社会福祉実践』(単著、全社協)等。社会的活動として社会保障審議会委員(厚労省)、神奈川県子ども・若者施策審議会委員、東京都社会福祉協議会理事等

岡部卓の最近のコメント