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錦田愛子

錦田愛子

認証済み

慶應義塾大学法学部教授

報告

見解今回の攻撃では、185基のドローンと 36発の巡航ミサイル、110発の地対地ミサイルが使用されたと、イスラエルの関係筋の話としてニューヨーク・タイムズが報じた。大半はイランから発射されたもので、一部イラクやイエメンから発射されたものもあるという。いずれにせよ、前例のない規模でのイスラエル直接攻撃であり、ネタニヤフ首相としては断固とした強い対抗姿勢を示す必要があった。 他方で今回のイランからの攻撃は、ネタニヤフ首相にとってある意味で政治的に利用しやすいものだったともいえる。エルサレムを含むイスラエル全土への攻撃は、かねてより彼が繰り返し主張してきたイランの安全保障上の脅威を裏付けるものである。支持率が過去最低に低下したネタニヤフ首相にとって、攻撃とこれへの対処は、国内の求心力を強める効果も期待される。戦略上の価値はもちろんだが、そこまで見越した上で大使館攻撃を行った可能性も考えられる。

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コメンテータープロフィール

専門はパレスチナ/イスラエルを中心とした中東地域研究、移民/難民研究。東京大学法学部卒業、同法学政治学研究科修士課程修了、総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了、博士(文学)。早稲田大学イスラーム地域研究機構研究助手、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所准教授等を経て、現職。ベイルート・アメリカン大学客員研究員、ヘブライ大学トルーマン研究所客員研究員、ロンドン大学東洋・アフリカ研究学院客員研究員などを歴任。単著に『ディアスポラのパレスチナ人―「故郷(ワタン)」とナショナル・アイデンティティ』、編著に『政治主体としての移民/難民――人の移動が織り成す社会とシィティズンシップ』など。

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