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中田大悟

中田大悟

認証済み

独立行政法人経済産業研究所 上席研究員

報告

「真に困窮した人だけに給付対象を絞るべき」というアイデアは、論理的には間違っていません。ただし、これは実務的、技術的に不可能です。リアルタイムで困っている人全員を把握するのは困難だからです。このことは、昨年、特別定額給付金(一律の10万円給付)を議論した際に、明らかになっていたはずのことですし、記憶にある方も多いと思います。 次善の策は2つ考えられ、 ・精度の甘さを受け入れて一定の属性(18歳以下子育て世帯等)のみを給付対象にする ・一旦、広く一律給付するもののその給付は課税対象とし、高所得を維持している人には僅かだけを手元に残るようにしておきながら、低所得層や子育て世帯には満額が残るようにする というものです。前者が今議論されている手法であり、後者は困ってない人からは事後的に回収してしまうという手法です。臨時の所得控除枠などを設けることで世帯属性への対処が可能になるでしょう。

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    日本総合研究所 調査部長/チーフエコノミスト

    非正規やフリーランス、低所得の子育て世帯などで厳しい生活に直面している人々は多くおられます。そうした…続きを読む

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    新潟医療福祉大学教授・東京都立大学名誉教授

    給付金の支給を行うべきである。 しかし、それは経済生活が立ち行かなっている層(人・世帯や事業者)に限…続きを読む

コメンテータープロフィール

中田大悟

独立行政法人経済産業研究所 上席研究員

1973年愛媛県生れ。横浜国立大学大学院国際社会科学研究科単位取得退学、博士(経済学)。専門は、公共経済学、財政学、社会保障の経済分析。主な著書・論文に「都道府県別医療費の長期推計」(2013、季刊社会保障研究)、「少子高齢化、ライフサイクルと公的年金財政」(2010、季刊社会保障研究、共著)、「長寿高齢化と年金財政--OLGモデルと年金数理モデルを用いた分析」(2010、『社会保障の計量モデル分析』所収、東京大学出版会、共著)など。

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