見解共産党は9月30日の第3回中央委員会総会で田村委員長が報告を行い、立憲民主党の野田代表が安保法制の即時廃止に消極的な姿勢を示していることを受けて、「両党間の共闘の条件は基本的に損なわれた」と述べ、衆院選では140以上の選挙区で競合しました。なのに、「選挙結果が出た後ではおのずと対応が変わる」という理由から、首相指名選挙で野田氏に投票するとは、筋が通るとは思えません。 共産党が首相指名選挙で野田氏に投票することは、万が一、野田政権ができた場合、それを恒常的に支持すること、つまり閣内協力か閣外協力を行うことを意味します。法案ごとに支持するパーシャル連合であれば、国民民主党のように、決選投票でも自らの党首の名前を書くべき。逆に言えば、立憲民主党が首相指名選挙で協力を求めるとは、共産党と閣内協力か閣外協力をしようということでしょうか。野田代表の発言を踏まえると、これも筋が通るとは思えません。
コメンテータープロフィール
専門は日本政治外交史、現代日本政治論。近著に、『自民党―「一強」の実像』中公新書、『自公政権とは何か』ちくま新書、『日本共産党』中公新書など。