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村野将

村野将

認証済み

米ハドソン研究所研究員

報告

見解従来から、中国の核運用政策については、2つの仮説が考えられてきました。一つは、この記事にあるように、「今や中国は通常戦力でも、西太平洋における米軍(と同盟国)の軍事的優位を覆し、自分たちが優位に立ちつつあるのだから、核の脅しを使うまでもない」という説です。これはそれなりに説得力のある仮説ですが、それは同時に「先に核を使うか、台湾を諦めるか」という決断を迫られるのは、実は中国側ではなく我々の側であるという深刻な問題を提起します。 他方で、中国はDF-26のような戦域レベルで使用しうる核戦力の増強を継続しています。通常戦力に自信があるのなら、なんでそんなもの着々と作り続けているのか(やっぱり使う気なのでは?)という疑念が拭いきれないことになります。 結局のところ、中国指導部の真意がわからない以上、我々は彼らの潜在的能力をベースに対抗策を考えざるを得ないと言えるでしょう。

同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 鈴木一人

    東京大学教授/地経学研究所長

    解説核を使わないというのは、基本的に中国の核ドクトリンは先制攻撃をしないというもの(最近変わったようだが…続きを読む

コメンテータープロフィール

岡崎研究所や官公庁で戦略情報分析・政策立案業務に従事したのち、2019年より現職。マクマスター元国家安全保障担当大統領補佐官らと共に、日米防衛協力に関する政策研究プロジェクトを担当。専門は、日米の安全保障政策、核・ミサイル防衛政策、抑止論など。 【近著】 -ブラッド・ロバーツ(監訳・解説)「正しい核戦略とは何か」(勁草書房、2022年) -峯村健司他(共著)「ウクライナ戦争と米中対立 帝国主義に逆襲される世界」(幻冬舎新書、2022年) -森本敏、高橋杉雄他(共著)「新たなミサイル軍拡競争と日本の防衛」(並木書房、 2020年9月)

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