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三牧聖子

三牧聖子

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同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科准教授

報告

解説今年G7サミットで議長を務めたメローニ首相は、ヨーロッパの首脳の中でもリーダーシップが注目される存在だ。初の大統領候補討論会でのパフォーマンスの悪さから、身内の民主党からも撤退論が出ている米バイデン大統領をはじめ、他G7の首脳が内政で苦境にあえぐのとは対照的だ。欧州議会選でもメローニ率いる右派与党「イタリアの同胞」は29%を得票して首位。2019年の前回選の6%から大きく躍進した。 確かに同党は、独裁者ムッソリーニのファシスト党の流れを汲み、政界で異端視されてきた。しかしメローニは、ロシアによるウクライナ侵略に際しては、右派の他政党とは一線を画してロシアを批判し、また前政権の親中政策を一転して中国の「一帯一路」構想から離脱するなど、ロシア・中国外交ではG7諸国と歩調を合わせて強硬姿勢を示し、結束を強めてきた。「右派」の固定的イメージでは捉えきれないそのリーダーシップに注目が集まる。

コメンテータープロフィール

三牧聖子

同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科准教授

アメリカ政治・外交、国際関係論、平和研究。東京大学教養学部卒、同大大学院総合文化研究科で博士号取得(学術)。日本学術振興会特別研究員、早稲田大学助手、米国ハーバード大学、ジョンズホプキンズ大学研究員、関西外国語大学助教、高崎経済大学経済学部国際学科准教授を経て2022年より現職。著書に『戦争違法化運動の時代-「危機の20年」のアメリカ国際関係思想』(名古屋大学出版会、2014年)共訳・解説に『リベラリズムー失われた歴史と現在』(ヘレナ・ローゼンブラット著、青土社)。

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