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三牧聖子

三牧聖子

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同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科准教授

報告

演説前には、安倍元首相とプーチンとの27回にわたる会談や、対ロ経済協力に6年間で200億円投入したことが批判されるのではないか、という憶測もあったが、直接の日本批判は避けられた。むしろ日本をアジアのリーダーと称えるなど、肯定的な言及が目立った。 演説は、ロシアによる原発攻撃、サリン使用、核による威嚇などにも言及したが、福島原発事故やオウム真理教によるテロ、広島・長崎への原爆投下など、日本の人々を刺激する可能性がある表現は慎重に避けられた。 こうした抑制的なトーンは、ドイツ議会での演説とは対照的だった。ドイツに対してゼレンスキーは、ロシアとのビジネスを優先し、ロシアを富ませてきたドイツを激烈に批判した。米議会での演説で、真珠湾攻撃に言及したことが日本で波紋を呼んだことを知っての抑制的な演説だった可能性もある。どういう表現が、その国の議員・人々を動かすのかをよく考え抜いている。

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同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 白鳥浩

    法政大学大学院教授/現代政治分析

    ゼレンスキー大統領が、国会で演説を行った。 オンラインで演説を行うのはゼレンスキー大統領がはじめてで…続きを読む

コメンテータープロフィール

三牧聖子

同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科准教授

アメリカ政治・外交、国際関係論、平和研究。東京大学教養学部卒、同大大学院総合文化研究科で博士号取得(学術)。日本学術振興会特別研究員、早稲田大学助手、米国ハーバード大学、ジョンズホプキンズ大学研究員、関西外国語大学助教、高崎経済大学経済学部国際学科准教授を経て2022年より現職。著書に『戦争違法化運動の時代-「危機の20年」のアメリカ国際関係思想』(名古屋大学出版会、2014年)共訳・解説に『リベラリズムー失われた歴史と現在』(ヘレナ・ローゼンブラット著、青土社)。

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