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三牧聖子

三牧聖子

認証済み

同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科准教授

報告

解説貴重な映像資料と証言だ。オッペンハイマーが、自身が開発に携わった原爆の投下をどのように受け止めていたかを知るための資料としては、1965年にCBSが行ったインタビュー映像がある。オッペンハイマーは1967年に亡くなったので、彼の晩年の貴重なインタビューだ。 インタビューでオッペンハイマーは、「原爆投下は必要だったか?」という問いに対し、言葉を選びながらこう答えている。確かに原爆投下は間違いなく残酷な行為であったが、当時より良い道があったのかどうかと問われれば、それは確信できない、と。そして「この質問に私は良い回答を持ち合わせていない」とも述べた。こうした公式のインタビューでも、彼の心の葛藤は推察されるところだが、今回の証言で明らかにされた、より非公式の場での彼の行為や言葉は、その葛藤をさらに浮き彫りにするものだといえる。

同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 宮本聖二

    立教大学 特任教授 / 日本ファクトチェックセンター副編集長

    補足映画「オッペンハイマー」では、核の扉を開いたことを悔いる一人の科学者を描いた映画でした。膨大なエネル…続きを読む

コメンテータープロフィール

三牧聖子

同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科准教授

アメリカ政治・外交、国際関係論、平和研究。東京大学教養学部卒、同大大学院総合文化研究科で博士号取得(学術)。日本学術振興会特別研究員、早稲田大学助手、米国ハーバード大学、ジョンズホプキンズ大学研究員、関西外国語大学助教、高崎経済大学経済学部国際学科准教授を経て2022年より現職。著書に『戦争違法化運動の時代-「危機の20年」のアメリカ国際関係思想』(名古屋大学出版会、2014年)共訳・解説に『リベラリズムー失われた歴史と現在』(ヘレナ・ローゼンブラット著、青土社)。

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