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松崎健夫

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映画評論家

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見解今週末から公開となる『劇映画 孤独のグルメ』(25)は、<映画版>ではなく<劇映画>と銘打っている点に注目したいです。つまり、この作品はテレビドラマシリーズの単なる映画化なのではなく、“物語性を伴った映画”であると宣言してみせているというわけなのです。その志の高さは、原作漫画やドラマ版の雛形を基本にしながらも、<ロードムービー>+<人情もの>といった要素を加えた、趣向の異なる作品になっていることにも表れています。また、奇しくも現在公開中の『グランメゾン・パリ』(24)と同じパリでのロケが本作では敢行されていますが、街の描き方にも志の違いを見出せるのも一興です。松重豊さんが演じる井之頭五郎は、渥美清さんが『男はつらいよ』シリーズ後半で演じた車寅次郎像のようなキャラクターとして、毎年冬の定番作品なれるポテンシャルを持っていることに驚く観客が続出するのではないかと思っています。

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  • 望月ふみ

    エンタメ系ライター/インタビュアー

    補足『孤独のグルメ』シリーズも、スタートから14年目に突入しました。『劇映画 孤独のグルメ』では、主演の…続きを読む

コメンテータープロフィール

東京芸藝術大学大学院映像研究科映画専攻修了。テレビ、映画の現場を経て執筆業に転向。『WOWOWぷらすと』『米粒写経 談話室』『シン・ラジオ〜ヒューマニスタは、かく語りき〜』など、テレビ・ラジオ・配信番組に出演。YouTube『そえまつ映画館』を毎週金曜日に更新、Loftにて『映画解説講座』を定期開催中。『キネマ旬報』『DVD&動画配信でーた』劇場パンフレット等に多数寄稿、共著に『現代映画用語事典』(キネマ旬報社)などがある。ゴールデン・グローブ賞の国際投票権を持ち、キネマ旬報ベスト・テン選考委員、田辺・弁慶映画祭審査員、デジタルハリウッド大学客員准教授などを務めている。日本映画ペンクラブ会員。

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