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市川衛

市川衛

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医療の「翻訳家」

報告

日本企業が果敢に変異ウイルスのワクチン開発に手を挙げるのは頼もしいことです。 とはいえ従来から欧米と比べ日本では患者数が少なく、ワクチンの効果を調べる臨床研究が進みにくいという問題があります。 実際、アンジェスさんは去年3月より新型コロナワクチン(従来型)の開発を進めていますが、まだ500人に接種したフェーズ2/3臨床研究段階です。有効性や安全性を確かめるには、数万人単位での臨床研究が必要と考えられますが、そのめどが立っているという情報は聞こえてきません。 「変異株ワクチンの開発開始」と聞くと希望を感じますが、その実現には高い壁があります。その点も指摘しなければ、ミスリーディングにつながりかねません。海外の製薬企業との開発レースに勝てる目算はあるのか、国内のワクチン開発環境に変化はあるのかなど、記事にもう一歩踏み込んだ取材を望みたくなってしまいます。

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同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 石川智久

    日本総合研究所 調査部長/チーフエコノミスト

    関西勤務経験のある私からしても関西企業がこうした動きを示したこと、大変嬉しく思います。ワクチン開発第…続きを読む

コメンテータープロフィール

(いちかわ・まもる)医療の「翻訳家」/READYFOR(株)基金開発・公共政策責任者/(社)メディカルジャーナリズム勉強会代表/広島大学医学部客員准教授。00年東京大学医学部卒業後、NHK入局。医療・福祉・健康分野をメインに世界各地で取材を行う。16年スタンフォード大学客員研究員。19年Yahoo!ニュース個人オーサーアワード特別賞。21年よりREADYFOR(株)で新型コロナ対策・社会貢献活動の支援などに関わる。主な作品としてNHKスペシャル「睡眠負債が危ない」「医療ビッグデータ」(テレビ番組)、「教養としての健康情報」(書籍)など。

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