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木村元彦

木村元彦

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ジャーナリスト ノンフィクションライター

報告

見解なぜ「ひどすぎた」のか。断じる前に今のミャンマー情勢を少しでも学ぶべきである。今、ミャンマー代表の選手たちは大きな葛藤の中にいる。2021年に起きた軍事クーデターによって国家が国軍によって乗っ取られている。国軍政府は抗議する国民を無差別に撃ち殺し、サッカーのU23代表キャプテンも殺害されている。無辜なる仲間を無差別に殺すような国の代表として戦いたくはないと国外でプレーする選手たちは、ボイコットを宣言した。しかし国内にいる選手たちは逃げ場が無い。歯向かえば、逮捕、拷問という重罪に課せられ、2月からは徴兵が義務化された。3年が経過してすでに5000人以上の同胞が殺され、約27000人が不当に拘束されているが、地方の内戦は激化していくばかりだ。代表選手としてのモチベーションなど持てようがない。確かに試合は一方的だったが、それでも試合に臨まざるをえなかった選手たちにあまりに敬意を欠いた言葉である。

コメンテータープロフィール

木村元彦

ジャーナリスト ノンフィクションライター

中央大学卒。代表作にサッカーと民族問題を巧みに織り交ぜたユーゴサッカー三部作。『誇り』、『悪者見参』、『オシムの言葉』。オシムの言葉は2005年度ミズノスポーツライター賞最優秀賞、40万部のベストセラーとなった。他に『蹴る群れ』、『争うは本意ならねど』『徳は孤ならず』『橋を架ける者たち』など。

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