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川上泰徳

川上泰徳

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中東ジャーナリスト

報告

9・11事件後にカブールを追われたタリバンが戻ってきた。一体、この20年は何だったのかと思わざるを得ない。米国はタリバン政権を打倒し、北部同盟を引き入れて政府を作らせた。米欧は軍を駐留させ、日本も含めて国際社会は巨額の援助を注いで、タリバンに対抗できる国づくりを支援した。その結果が貧困率は2007年33.7%、2011年38.3%、2016年54.5%と増加。農村と都市部の所得格差は拡大し、腐敗を示す国際順位は180か国中172位。腐敗した失敗国家をつくっただけ。米国が軍隊に投じた資金と武器が途中で消えたのは、イラクでも起こった。人口の半数を超える貧困層にとっては、タリバン政権が排除された後も、援助の恩恵もなく、生活も治安も悪化。タリバンがアフガンに安定をもたらすなら、国際社会も日本もタリバン政権を相手に、アフガンの人々の生活向上、女性の権利や人権や教育など働きかけ、支援していくしかない。

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コメンテータープロフィール

元朝日新聞記者。カイロ、エルサレム、バグダッドなどに駐在し、パレスチナ紛争、イラク戦争、「アラブの春」などを現地取材。中東報道で2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。2015年からフリーランス。フリーになってベイルートのパレスチナ難民キャンプに通って取材したパレスチナ人のヒューマンストーリーを「シャティーラの記憶 パレスチナ難民キャンプの70年」(岩波書店)として刊行。他に「中東の現場を歩く」(合同出版)、「『イスラム国』はテロの元凶ではない」(集英社新書)、「戦争・革命・テロの連鎖 中東危機を読む」(彩流社)など。◇連絡先:kawakami.yasunori2016@gmail.com

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