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井上智介

井上智介

認証済み

精神科医/産業医

報告

当然ながら、死産も1つの死別になります。とくに妊娠という世間的にも祝福ムード真っ只中なので、ご夫婦ともにその急な出来事を平常心で受け入れることは非常に困難です。 このような体験をされた方は、悲しみだけではなく『あの時激しい動きをしたからかも…』、『あの時力を入れたからかも…』のように過剰な自責の念にかられます。そのネガティブな気持ちをどこにも吐き出すことができず、ご夫婦だけで抱えてしまいがちで十分な注意も必要です。 また周囲からは『早く立ちなおれますように』のような声かけをする人もいるかもしれません。しかし『立ちなおる』という表現には『今回の辛かったことが忘れられますように』のニュアンスで伝わることもあります。 たしかに、ご夫婦にとっては想像を絶するほど辛い体験です。しかし、絶対に忘れたくない体験なのです。周囲の何気ない言葉で、さらに傷つけてしまう可能性があることも考慮してください。

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コメンテータープロフィール

兵庫県出身。島根大学を卒業後、大阪を中心に精神科医・産業医として活動している。産業医としては毎月30社以上を訪問し、一般的な労働の安全衛生の指導に加えて、社内の人間関係のトラブルやハラスメントなどで苦しむ従業員にカウンセリング要素を取り入れた対話を重視した精神的なケアを行う。精神科医としてはうつ病、発達障害、適応障害などの疾患の治療だけではなく、自殺に至る心理、災害や家庭、犯罪などのトラウマケアにも力をいれている。さらに、ブログやツイッター、講演会などでこれらを分かりやすく「ラフな人生をめざすこと」を発信している。

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