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稲葉剛

稲葉剛認証済み

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立教大学大学院客員教授/つくろい東京ファンド代表理事

報告

見解「意地悪ベンチ」「排除ベンチ」と呼ばれるベンチは、バブル経済崩壊後に路上生活者が急増した1990年代半ばから主に大都市部で増えていきました。当初は木製ベンチの座面の中央に「横たわり防止板」と言われる板を後付けで設置する手法が一般的でしたが、その後、さまざまな形状の排除型ベンチが考案され、設置されていきました、 2000年代には路上生活者への官民の支援策が広がって、公園で起居せざるをえない生活困窮者は大幅に減少しましたが、その後も若者などの排除を目的としたベンチが逆に増えていきました。 こうした経緯は、一度、行政が「住民の苦情」などを根拠に特定の人たちを公共空間から排除することを正当化すると、もともとの問題が解消しても、排除は止まらず、排除される対象が際限なく拡大されていく傾向があることを示しています。都市における公共空間のあり方をめぐる議論が求められています。

コメンテータープロフィール

稲葉剛

立教大学大学院客員教授/つくろい東京ファンド代表理事

1969年広島県生まれ。94年より、路上生活者を中心に生活困窮者への相談・支援活動に取り組む。 一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事、認定NPO法人ビッグイシュー基金共同代表、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科客員教授、住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人。生活保護問題対策全国会議幹事。 著書に『貧困パンデミック』(明石書店)、『閉ざされた扉をこじ開ける』(朝日新書)等。

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