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星周一郎

星周一郎

認証済み

東京都立大学法学部教授

報告

解説昏酔強盗罪(刑法上の用語は「昏睡強盗」ではありません)は、被害者を昏酔させて財物を盗取する罪で、暴行・脅迫を手段として行う通常の強盗罪と同じ扱いになります。その法定刑は5年以上の有期懲役(20年)であり、有罪が認められれば、特に酌量すべき事情などがない限り、原則として執行猶予はつきません。 また、被害者のクレジットカードを無断使用した行為については、本件では、昏酔強盗罪の一部として評価されます。 また、保護責任者遺棄罪も同時に立件されているのは、泥酔してしまった被害者を放置するなどした、という事情があったものと推測されます。 報道されている総額2000万円以上にのぼる被害について、すべてが立件できるかは、今後の捜査での証拠がどれほど収集できるかによりますが、適正な法的対応がされることが望まれます。

同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 一杉正仁

    医師/滋賀医科大学教授

    補足こん睡強盗だけでなく、アルコールに薬物を混入されて、意識がもうろうとしている状態で性犯罪の被害にあう…続きを読む

コメンテータープロフィール

1969年愛知県生まれ。東京都立大学法学部卒業、博士(法学・東京都立大学)。専門は刑事法。近年は情報法や医事法にも研究対象を拡げている。著書として『放火罪の理論』(東京大学出版会・2004年)、『防犯カメラと刑事手続』(弘文堂・2012年)、『現代社会と実質的刑事法論』(成文堂・2023年)、『アメリカ刑法』(訳・レクシスネクシス・ジャパン・2008年)など。

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