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星周一郎

星周一郎

認証済み

東京都立大学法学部教授

報告

補足世間を震撼させるような凶悪犯罪は、犯人が心神喪失状態だったからこそ生じた、という場合も多いです。 心神喪失であれば、責任非難はできず、必要なのは処罰ではなく治療である、という意味で「無罪」とするのが、刑法の考え方です。 ただし、結果の重大性を考えると、「無罪」という結論に世間の理解が得られにくいという状況は、世界共通にみられる現象でもあります。 アメリカの一部の州では、このような相反する要請に対応するため、一定の場合に「有罪だが精神病である」(Guilty but Mentally Ill・GBMI)という陪審評決(判決)を認めています。これにより、「有罪」という法的処分を科しつつ、精神科治療を受けさせることを意図した対応がされています。 なお、日本でも、心神喪失による「無罪」とされた後は、医療観察法や措置入院制度により強制入院の措置になることが通常です。

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コメンテータープロフィール

1969年愛知県生まれ。東京都立大学法学部卒業、博士(法学・東京都立大学)。専門は刑事法。近年は情報法や医事法にも研究対象を拡げている。著書として『放火罪の理論』(東京大学出版会・2004年)、『防犯カメラと刑事手続』(弘文堂・2012年)、『現代社会と実質的刑事法論』(成文堂・2023年)、『アメリカ刑法』(訳・レクシスネクシス・ジャパン・2008年)など。

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