見解元は今年の2月16日に流出が確認されて話題になった資料ですが、そろそろマスメディアも取り上げるようになってきたのでしょうか。内容としては世論工作からマルウェア、物理デバイスまで中国政府の下請けとして手広くやっている企業の内幕が伺えて興味深いものです。2017年にWikileaksによって流出した米CIAの同種の資料、Vault7に匹敵するものだと思います。 ただ、この種のものを評価する上でよく言われることですが、技術的な脅威のレベルと、それによって引き起こされた実際の影響は異なることには注意が必要です。今回の報道では「世論工作システム」が華々しく取り上げられていますが、中国の世論工作が成功しているかというと(国によるとはいえ)微妙なところでしょう。むしろ、日本においてネット規制強化の口実に使われることを危惧します。
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コメンテータープロフィール
1979年東京生まれ。東京大学経済学部卒、同大学院経済学研究科博士課程単位取得満期退学。一般財団法人知的財産研究所特別研究員を経て、現在駿河台大学経済経営学部教授。専攻は経営組織論、経営情報論。Debian公式開発者、GNUプロジェクトメンバ、一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)理事。Open Knowledge Japan発起人。共著に『日本人が知らないウィキリークス』(洋泉社)、『ソフトウェアの匠』(日経BP社)、共訳書に『海賊のジレンマ』(フィルムアート社)がある。
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