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郷原信郎

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郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士

報告

この事件を独禁法違反として構成する上で最大の問題は、不当な取引制限の要件である「一定の取引分野における競争の実質的制限」を、どの範囲の取引ととらえるかという点だ。テスト入札の運営業務だけの「取引分野」であれば、総額で5億円程度と公取委の摘発対象事件としては規模が小さく、課徴金も極めて僅少になる。その先の本大会の競技運営業務も含めてとらえたいところだが、実際には、随契で発注されているので、その取引分野において競争が予定されていたのかどうかが問題になる。不当な取引制限は、競争事業者間の競争制限なので、電通と他の事業者が競争関係にあったことが前提だが、電通が圧倒的な支配力を持つこの分野で、「競争関係」が認定できるかどうかも、一つのポイントだ。

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コメンテータープロフィール

郷原信郎

郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士

1955年、島根県生まれ。東京大学理学部卒。東京地検特捜部、長崎地検次席検事、法務省法務総合研究所総括研究官などを経て、2006年に弁護士登録。08年、郷原総合コンプライアンス法律事務所開設。これまで、名城大学教授、関西大学客員教授、総務省顧問、日本郵政ガバナンス検証委員会委員長、総務省年金業務監視委員会委員長などを歴任。著書に『歪んだ法に壊される日本』(KADOKAWA)『単純化という病』(朝日新書)『告発の正義』『検察の正義』(ちくま新書)、『「法令遵守」が日本を滅ぼす』(新潮新書)、『思考停止社会─「遵守」に蝕まれる日本』(講談社現代新書)など多数。

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