「国葬儀」と称していても、違憲・違法にならないように、国民に弔意も求めず、関係機関への弔意要請の閣議了解も行わない、ということで実質は「内閣葬」。法的根拠に関しても、行政権の行使として「内閣葬」を行い得ることは問題なく、それを単に、「国葬」のように”偽装”しているだけなので、法的な問題ではない。最高裁が差し止めを認めないのは当然であり、それが認められないことは、「国葬儀」についての内閣の重大な政治責任を全く軽減するものではない。
コメンテータープロフィール
1955年、島根県生まれ。東京大学理学部卒。東京地検特捜部、長崎地検次席検事、法務省法務総合研究所総括研究官などを経て、2006年に弁護士登録。08年、郷原総合コンプライアンス法律事務所開設。これまで、名城大学教授、関西大学客員教授、総務省顧問、日本郵政ガバナンス検証委員会委員長、総務省年金業務監視委員会委員長などを歴任。著書に『歪んだ法に壊される日本』(KADOKAWA)『単純化という病』(朝日新書)『告発の正義』『検察の正義』(ちくま新書)、『「法令遵守」が日本を滅ぼす』(新潮新書)、『思考停止社会─「遵守」に蝕まれる日本』(講談社現代新書)など多数。