見解東京高裁の再審開始決定は、捜査機関による証拠の「捏造」の可能性に言及した。検察は、再審の判決でも「捏造」と評価されることだけは、なんとか回避したいと必死なのだろう。 実は、本件で「捏造」が疑われているのは、「5点の衣類」だけではない。捏造証拠によって死刑が確定したという司法判断になれば、警察・検察が厳しく批判され、国民の信頼が失墜するのは必至。捜査や裁判の経緯について、国会でも検証を求められるだろう。再審判決確定後に起こされるだろう国家賠償訴訟で、国側は著しく不利な立場に立たされる。加えて、再審請求に関する法整備を求める声も、さらに大きくなることが予想される。 そうした事態は避けたい。そのために、そして警察との良好な関係を維持していくためにも、検察としてはここでがんばらなければ、という、内向きな意識で動いているのではないか。 こうした検察の対応も後日、きちんと検証する必要がある。
コメンテータープロフィール
神奈川新聞記者を経てフリーランス。司法、政治、災害、教育、カルト、音楽など関心分野は様々です。2020年4月から神奈川大学国際日本学部の特任教授を務め、カルト問題やメディア論を教えています。
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