解説少年鑑別所で勤務していると、こうした事件に出会うことが数多くあります。集団心理が働くと、自分でも思ってもいなかったような暴力を振るってします。暴行に及んでいるときは興奮状態にあるので、手加減することもない。そして後から結果の重大性に気づきます。集団内ではお互いに刺激し合う状況が発生し、ストップをかける存在がいなくなります。また、ストップをかけると攻撃の矛先が自分に向かう危険性を感じているので、なおさら被害者への攻撃を強めてしまいます。 主犯格の人間にはなんのための事件かはわかっていますが、それ以外の人間は何でこうした暴力が実行されるのかよくわからないまま手を出している場合が多くあります。今回も首謀者と被害者の間には何らかのトラブルがあったのでしょうが、それ以外の人間は状況把握もままならないままに加担していたことが推測されます。
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コメンテータープロフィール
東京学芸大学大学院修了後、法務省に心理職として入省。全国の少年鑑別所・刑務所・拘置所で犯罪者を心理学的に分析する資質鑑別に従事。分析した犯罪者数は1万人を超える。その他、法務大臣官房秘書課国際室勤務等を経て、2007年に法務総合研究所室長研究官を最後に退官し、東京未来大学教授に着任。2013年からは学部長。TV等メディアを通しての発信も多く、年間の報道・情報番組の出演は200本を超える。バラエティでもフジテレビ「全力!脱力タイムズ」のレギュラーを8年以上続けている。近著に、「犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉」(SB新書、2022年)、「犯罪心理学者は見た危ない子育て」がある。
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