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荒木樹

荒木樹

認証済み

元検事/弁護士

報告

斬新な判決と思われる。 通常の侵入窃盗事案では,住居への侵入をしただけの段階では,窃盗未遂罪は成立しないと考えられている(物色行為が窃盗の着手)。 本件では,住居への立ち入りすら至っていない段階であり,通常,この時点では,窃盗の着手があったとは考えられない。 もっとも,本件では,既に被害者宛にウソの電話を架けているので,仮に詐欺罪として考えれば,詐欺未遂罪は成立する(詐欺未遂罪で起訴できない事情があったと思われる)。 ウソの電話と併せて,被害者の財産が奪取される危険性が相当程度に高まったと考えられ,窃盗未遂罪の成立を認めたものと思われる。

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コメンテータープロフィール

北海道出身。平成6年早稲田大学法学部卒業。平成8年司法試験合格。平成11年検事任官。東京地検,札幌地検岩見沢支部長等を赴任。平成22年検事退官。同年釧路弁護士会弁護士登録。一般刑事・民事・家事事件全般を取り扱う。

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