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荒木樹

荒木樹

認証済み

元検事/弁護士

報告

見解刑事司法の厳罰化が進んでいることを感じる。 元交際相手に対する被害者1名の殺人事件であり、一昔前であれば、懲役30年は重いと感じる求刑である。 もともと、殺人罪の法定刑は、平成16年の刑法改正前は、死刑・無期又は3年以上の有期懲役(15年以下)であった。 改正前は、殺人事件でも懲役15年を下回るのが通常で、被害者との関係性によっては、懲役10年を下回ることも珍しくはなかった(見ず知らずの他人の方が量刑は重い)。 本件の弁護側主張の「懲役17年」は、平成16年以前であれば、傷害罪もあわせた量刑として、ごく標準的であったと思う。 刑法改正に加えて、平成21年からの裁判員制度が国民の処罰感情を反映させ、刑事司法は短期間で厳罰化となった。 結果として、法定刑の上限近くに刑罰が集中する傾向があり、刑事司法の裁量の余地が非常に狭まっているように感じられる。

同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 星周一郎

    東京都立大学法学部教授

    見解被害者に対する殺人事件だけでは、有期懲役を選択する場合、最高で20年の懲役となります。ただし、本件で…続きを読む

コメンテータープロフィール

北海道出身。平成6年早稲田大学法学部卒業。平成8年司法試験合格。平成11年検事任官。東京地検,札幌地検岩見沢支部長等を赴任。平成22年検事退官。同年釧路弁護士会弁護士登録。一般刑事・民事・家事事件全般を取り扱う。

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