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荒木樹

荒木樹

認証済み

元検事/弁護士

報告

補足この種事故の示談交渉に携わると、「人の命を金額に換算していいのか?」という悩みがある。本件で、一部の遺族との交渉が遅れたのも、遺族の心境を考えれば、やむを得ない。 現在の判例では、死者が将来得られたであろう利益(収入など)を計算して、得られなかった利益(逸失利益)を、遺族が相続する、という枠組みで考えている(慰謝料は別)。 そのため、①無職や障害者の場合は金額が少ない、②未成年者は、男女で金額が異なる、③高校生は、大学進学可能性の有無、つまり成績で金額が異なる、という結論となる。 これは、常識的に納得できない。子を亡くした親の苦しみに男女差があるはずはない。 裁判例では、慰謝料額を通常より増額するなどして、できるだけ公平な結論に近づけるようにする事例もあるようである。 ただ、現在の死亡事故の賠償計算方法は、確立した判例であり、抜本的な解決方法が見当たらないのが実情である。

コメンテータープロフィール

北海道出身。平成6年早稲田大学法学部卒業。平成8年司法試験合格。平成11年検事任官。東京地検,札幌地検岩見沢支部長等を赴任。平成22年検事退官。同年釧路弁護士会弁護士登録。一般刑事・民事・家事事件全般を取り扱う。

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