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秋山文野

秋山文野

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サイエンスライター/翻訳者(宇宙開発)

報告

解説「一発勝負」の意味ですが、同じ天体への着陸という点で、小惑星探査機「はやぶさ2」の場合は着陸した小惑星リュウグウが地球の約8万分の1という非常に小さな重力であったため、探査機がリュウグウ表面に接近して地形を詳しく観測し、また上空へ戻ってしっかり着陸計画を立てるということができました。しかし月は「重力天体」と呼ばれる地球の約6分の1の重力を持つ天体です。このため、SLIMが月面に向かって接近し、何らかの障害を発見しても、また上空へ戻るということはできません。探査機の自律判断で目標地点への着陸精度を100m程度に維持しつつ、危険な岩塊や崖のような場所を避けて着陸できるかという点が着陸の成否を分けることになります。そのために20年以上、さまざまな技術を開発してきたプロジェクトチームの努力の成果を見守りたいと思います。

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コメンテータープロフィール

秋山文野

サイエンスライター/翻訳者(宇宙開発)

1990年代からパソコン雑誌の編集・ライターを経てサイエンスライターへ。ロケット/人工衛星プロジェクトから宇宙探査、宇宙政策、宇宙ビジネス、NewSpace事情、宇宙開発史まで。著書に電子書籍『「はやぶさ」7年60億kmのミッション完全解説』、訳書に『ロケットガールの誕生 コンピューターになった女性たち』ほか。2023年4月より文部科学省 宇宙開発利用部会臨時委員。

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