Inside2018.04.25

畑違いの部署から異動 Yahoo!ニュースと450媒体をつなぐスタッフ

Yahoo!ニュースに携わる人々は、必ずしもメディアやマスコミの世界で育った生え抜きばかりではありません。社内の別部署から異動してきた人材も多く、それぞれの思いと特性を現場で生かしています。
そこで今回は、ヤフーの中で新たな経験にチャレンジしたい場合、その希望を自己申告できる異動制度「ジョブチェン」制度でYahoo!ニュースにやってきた二人に話を聞きました。異業種でのキャリアは、メディアの現場でどのように生かされているのでしょうか。

取材・文/友清 哲
編集/ノオト

連載「Yahoo!ニュースの作り方」第8回

Yahoo!ニュースについて編集プロダクション「ノオト」の皆さんに取材していただきました。今回のテーマは「Yahoo!ニュースの部署へ異動してきたスタッフ」です。

新たなチャレンジを後押しする異動制度

――お二人はともに新卒入社で、他の事業部から2013年にニュース部門に異動してきたという共通点がありますね。まずはこれまでのキャリアについて教えてください。

神山
僕は2008年の入社で、最初の5年間は広告本部に在籍していました。広告代理店や各種クライアント企業を担当したあと、ニュース部門のスタッフと一緒に広告商品の制作に携わったことが、メディアに興味を持ち始めたきっかけです。2013年の「ジョブチェン」制度開始を機にニュース部門への異動を申請しました。この希望が通り、同年の4月から現職に就いています。

神山亮介(こうやまりょうすけ)さん
日置
私は神山の1年後輩で、2009年の入社です。最初は同じく広告本部で、主にターゲティング広告の企画を担当していました。3年ほど経験を積んだところで、広告以外の分野をやってみたくなり、異動願いを出したんです。ただ、この時はまだ「ジョブチェン」制度がなかったので、行き先がどこになるかはわからず、結果的に2012年7月から法務部へ異動になりました。

日置英里(ひおきえり)さん

――広告から法務というと、まったく違った業種ですね。

日置
もともと法学部卒というわけでもないので、「ミニ六法」など参考書をたくさん買って、独学で民法を学びました(笑)。私も神山と同じで、法務の仕事をやっている時にメディアの仕事との接点ができたのが、興味を持つきっかけになっています。

広告の現場とメディアの現場で異なる点は?

――では今度は、メディアに異動してからの担当業務について、それぞれ教えてください。

神山
僕は記事の配信元である新聞社や雑誌社、テレビ局とのコミュニケーションを担当しています。新しい企画を考えたり、新規提携を交渉したりする窓口的な業務ですね。気がつけばメディア事業に携わって5年になりますが、広告本部の時以上に自分で考えて動かなければならないシーンが多く、大変である半面、やりがいも感じています。
日置
私も同じくYahoo!ニュースの窓口ですが、主に海外メディアを担当しています。国外の新聞社やテレビ局はもちろん、新たなメディアパートナーの開拓もします。海外のパートナーとのやりとりのために国外出張に行く機会ができたのも、ニュース部門に異動してからです。もともと学生時代から海外志向が強く英語が得意だったので、やりたかった仕事にたどり着いた感じですね。

――同じ会社の中でも、部署が違えば雰囲気も勝手も大きく変わりますか?

神山
そうですね。広告本部にいた頃に比べて、周りにいる人たちのタイプはまったく異なります。広告本部は新卒社員が多いので全体的に若く、ちょっと広告代理店っぽい空気があります。一方、Yahoo!ニュースは編集部にはずっと記者をやってきた人が多く、平均年齢が高いこともあって落ち着いた雰囲気です。
日置
Yahoo!ニュースに移って最初に驚いたのは、編集部には夜勤や早番のシフトがあって、24時間365日スタッフの誰かが働いていることでした。大きな災害が発生した時などは、シフトに関係なく必要な体制が迅速に整えられますし、広告の現場とはだいぶ事情が異なりますね。

神山
以前、仕事を終えてみんなで飲みに行った時も、乾杯の直前に緊急ニュースが飛び込んできて、慌てて頼んだ唐揚げを包んでもらったことがあったよね(笑)。
日置
そういう意味では、プライベートでも一定の緊張感は必要になったかもしれません。大規模な災害や事故などの非常時には、海外担当として関連ニュースを訳して海外メディアに送るなど、通常の業務にはない仕事をこなすこともあります。

――現場に加わったことで、Yahoo!ニュースを見る目もだいぶ変わってきたのでは?

神山
それはありますね。以前はニュースの配信元どこかなんて、あまり気にしたことはありませんでしたが、平昌オリンピックで羽生結弦選手が金メダルを取った時など、「どこの記事が(Yahoo! JAPANの)トップページに載るのかな?」と、広告本部時代には考えもしなかった目線で記事をチェックしていました。
日置
私も、それまで何気なく見ていたニュースが、実は裏側ですごく議論されているということを、異動して初めて知りました。たとえば大きな事故が起きた場合、被害者を実名で報じているメディアとそうでないメディア、どちらの記事を掲載するかで激論が交わされていたりするのは、外からは見えなかった部分ですね。

Yahoo!ニュースも時代に合わせてさらなる進化を

――他業種で得た経験やスキルが、Yahoo!ニュースで生かされるのはどのような場面でしょうか。

神山
広告時代は対外的な交渉をずっとやっていたので、コミュニケーションの面ではアドバンテージがあるように思います。メディアの世界は特に個性的な方が多いですから、うっかり怒らせてしまったりしないよう、いろんなタイプの人といい関係を築けるよう言葉の使い方には気をつけています。
日置
法務時代に民法を学んだことは、仕事だけでなく日常でもプラスになっていますが、それよりも社内で複数の部門を経験したことのほうが大きいでしょうね。広告でもメディアでも、部署をまたいでプロジェクトに取り組む機会は少なくないですから、それぞれの特性を理解しやすいのは強みですね。

ーーそうした強みを生かしながら、お二人はYahoo!ニュースをこれからどのように発展させていきたいですか。

神山
デバイスの主流がパソコンからスマホに移ったことで、以前ほどYahoo!ニュースが読まれていないように感じています。特に10~20代はSNS上でニュースをチェックする人が多く、まずYahoo! JAPANのトップページにアクセスするという文化は失われつつある。そうした時代の変化に合わせて、Yahoo!ニュースの影響力を高めていくにはどうすればいいか、もっと考えていかなければならないなと。

日置
私もそういう危機感はありますね。Yahoo!ニュースは以前と変わらず広く認知されていますが、それにあぐらをかいていてはいけません。インターフェースにしてもコンセプトにしても、昔からのいい部分を継承しながら、今の時代に合った新しい工夫をもっと取り入れ、臆せず新しいことにチャレンジしていく必要があると思います。

――老舗ニュースサービスとしての利点を生かしながら、次の進化を模索する時期に来ている、と。

神山
そう思います。僕らは大前提として、コンテンツパートナーの皆さんから引き続き記事を配信していただかなければなりません。そこで今の自分の立場でやれることは、例えば現在、300社超、約450媒体から記事を提供いただいていますが、各媒体社に経済的に還元することやトラフィックの整備にかける努力を怠らないことなどです。さまざまなニュースメディアがしのぎを削る中、Yahoo!ニュースというプラットフォームの信用を守っていかなければなりません。
日置
その意味でも、ユーザー調査の結果は特に重要だと考えています。ユーザーの皆さんの希望や要望を敏感に察して反映する。それによって使い勝手のいいニュースサービスであり続けることが、私たちの役割ではないでしょうか。

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