Information2020.03.13

Yahoo!ニュース パートナーカンファレンス2020を開催しました

Yahoo!ニュースは、2019年に続き、「Yahoo!ニュース パートナーカンファレンス 2020」を2月25日に開催しました。カンファレンスでは、Yahoo!ニュースを取り巻く現状やこの1年で行った施策などを、Yahoo!ニュースへ記事を配信いただいているコンテンツパートナーの皆さまにお伝えしました。本記事では、その一部をご紹介します。

なお、今回は新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、ストリーミング配信形式で行われました。

取材・文/ユウミ ハイフィールド
編集/ノオト

2019年度の振り返りとこれから

メディアカンパニー メディア統括本部長 片岡裕の冒頭あいさつに続いて、メディア統括本部 スタートページ ユニットマネージャーの小林貴樹が、数値をもとに2019年度のYahoo!ニュース全体を振り返ります。

現在のコンテンツパートナー数は、370社、570媒体。1日の配信記事数は6000本にのぼります。

スマートフォンからのPVが成長を続け、アプリ、Webともに前年同月比で17%増加、2019年7月には、Yahoo!ニュース開始以来最高の167億PVを記録しました。

また、パートナーへのお支払い額にPV以外の指標を加味するために展開している「課題解決バリュープログラム」も成長。2019年度は、前年比で22%増、お支払い総額も前年比17%増となりました。

今後、2020年5月にはパートナー向け商品「Yahoo!ニュース スポンサードコンテンツ」のリニューアル、夏頃からはYahoo!ニュース内に掲載されている有料記事のRSSを提供しパートナー企業のWebサイト内でも課金ができるような仕組みづくりをしていくなど、引き続きマネタイズ面でもサポートをしていく予定です。

多様な意見が多様な出会いをつくる

次に具体的に行ったサービス強化のための施策を、「掲載面」「マッチング」「コンテンツ」の3つの柱で振り返ります。

掲載面の工夫として、PC版Yahoo! JAPANトップページにあった数多くのモジュールを集約し、Yahoo!ニュースへの導線を強化。また、Yahoo!天気アプリでは、天気予報と一緒にローカルニュースを読めるようUXを刷新しました。

Yahoo!ニュースの内部では、編集部が記事に設置した質問に対してユーザー投票ができる「みんなの意見」をリニューアル。アンケート結果と記事タイトルを同時に見られるようになりました。

ほかにも、Yahoo!ニュースアプリでは、コメント欄に投稿されたユーザーコメントの活用や、Twitterで話題になっているキーワードを表示させる仕組みの導入など、記事との新しい出会い方も提案しています。

マッチング面では、Yahoo!ニュースアプリの主要タブやタイムラインのパーソナライズ化、トップページに表示されるニュースのアルゴリズムは引き続き改善しています。

今後、Yahoo! JAPAN トップページに、興味のあるジャンルのタブをユーザーが任意で追加できるようになる予定です。

コンテンツ面では、データを活用したコンテンツパートナーとの共同・連携企画を実施しています。また、終戦記念日に合わせた「戦後特集」は2019年度も継続して行いました。

ほかにも、2019年も本屋大賞に協賛し、ノンフィクション本大賞を実施。『僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(ブレイディみかこ/新潮社)が大賞を受賞しました。

「課題解決と行動につながるニュースを伝える」をミッションに掲げるYahoo!ニュース。そのため、「信頼されるWebメディア」であるべく、ニュースの品質向上にも努めています。

その一つとして、多様な意見や考えに触れ、ニュースをより深く理解する場として運営している「コメント欄」の健全化に向けた改善を続けています。

2019年度は、最先端の自然言語処理モデルと、大量のデータを処理できるスーパーコンピュータkukaiを用いた対策を導入しました(本施策は、記事とコメントの関連性を判定するモデルを導入し、機械的なパトロールを強化したもので、詳細はこちらのお知らせ記事でも紹介しています)。

Webでも最高のニュース体験を Portalsが変える遷移体験

Yahoo!ニュースでは、コンテンツをよりリッチに、そして最適にユーザーに配信するために、テクノロジーやデザインを利用した「ユーザー体験の向上」に積極的に取り組んでいます。今回はYahoo!ニュース リードデザイナーの萩野誠一が、ユーザー体験の改善事例として「Portals」を取り上げました。

「Portals」は、GoogleのChromeチームが標準化に取り組んでいる機能で、2つのページ間をスムーズにつなげる技術です。これにより記事コンテンツが入れ替わるタイミングでも、読み込み時における白いページが表示されなくなるなど、ユーザーはよりシームレスな遷移を体験できます。

2019年11月、「Portals」をYahoo!ニュースで試験的に活用した取り組みが、世界最大級のWebをテーマにしたカンファレンス「Chrome Dev Summit」で紹介されました。本事例の詳細は、Yahoo! JAPAN Tech Blogでも公開しています。

今回は、Google モバイル ソリューションズ コンサルタント 宇都宮佑亮さんにお話を伺いました。


Yahoo!ニュース リードデザイナーの萩野(左)とGoogle モバイル ソリューションズ コンサルタントの宇都宮さん(右)

Yahoo!ニュース リードデザイナーの萩野から、Googleが新しいWebテクノロジーに積極的な理由を問われると、「Webは50億デバイスとつながった巨大なプラットフォーム。アプリ全盛の時代でも、Webはユーザーにとって重要な存在です。ユーザーから引き続き、選ばれるためにも、ユーザー体験の改善は非常に大事だとして捉えています」と宇都宮さん。

また、「Portals」のビジネス面でのメリットや期待できる効果として、「今回のYahoo!ニュースの事例のように同一サイトのページを行き来する“Same-Origin”へ導入すれば、遷移がスムーズになり、PVや滞在時間にも変化があると考えています。一方で、違うサイトを行き来する“Cross-Origin”に導入することは、今までにない新しい効果を期待できます。ここには、パブリッシャーやプラットフォーマーのパートナーシップというビジネスチャンスがあるのではないでしょうか」と話しました。

Web標準化を意識し、Chrome以外のブラウザでも利用ができるようにすることも長期的に視野に入れています。

データに基づく共同企画のご紹介

パートナーとの共同企画・プロジェクトマネージャーの前田明彦からは、ヤフーの保有するデータを活用した、「コンテンツパートナーとの共同企画」を紹介。本企画では、2018年4月以降、約50社のパートナーと連携し、災害からオタク文化まで、さまざまなテーマで300本以上の多様なコンテンツを配信してきました。

2019年度は、朝日新聞社と連携した連載「#父親のモヤモヤ」、神奈川新聞・京都新聞と連携した「#実名報道」、日刊スポーツと連携した「#みんなの3年間」などのシリーズ企画を実施。

また、複数のパートナーと共に災害から復興までの過程を追う「地元から伝えたい」シリーズ、FNN系列局のドキュメンタリーを再編集した企画「今をつなぐ」など、多くのユーザーに閲覧され大きな反響がありました。

これらの共同・連携企画の目的は、ユーザーとメディアの新しい接点創出。Yahoo!ニュース編集部とコンテンツパートナーが合同で企画会議を開き、ヤフーのデータやノウハウを掛け合わせて、ネットユーザーと親和性が高いコンテンツを生み出すことを目指しています。

今後、ユーザーのニーズ分析で2種類のデータ活用へ力を入れていく方針です。具体的には、特定テーマの記事数とPVの関係からユーザーのニーズを探る「需給モデル」、そしてあるテーマに関心をもつ集団が他に何に興味を持つかの関係性を調べる「検索データを活用したモデル」を活用。これらが企画の切り口を考えるヒントとなり、読者の隠れたニーズに寄り添った記事を届ける手助けをしています。

配信記事の多くをストレートニュースが占める、Yahoo!ニュース。その中で、共同企画に取り組む意義を「世の中の価値観の変化やなんとなく感じていた課題を言語化し、大事だけど気が付かなかったり、忘れていたりする大切なテーマを知るきっかけにしたい」だと語りました。

ヤフーのデータから見る2020

カンファレンスの最後は、シニアデータアナリストの池宮伸次が、ビッグデータをもとにした2020年の傾向とトレンド予測について説明しました。

定期的に発表する「Yahoo! JAPANビッグレポート」では、ヤフーが保有するビッグデータを分析して、選挙やインフルエンザの予測から、データビジュアライズまでを行い、データの面白さをわかりやすく発信しています。

今回の発表では、2020年の話題である「東京オリンピック」「アメリカ大統領選挙」「新型コロナウイルス」の3つのトピックスを取り上げました。

「共起ネットワーク分析」とは、調べたい対象の検索キーワードを特定対象期間から抽出して作成する分析手法のこと。ユーザーの興味・関心が高いキーワードは何かを視覚的にも把握でき、企画作りのヒントにつながります。

さらに、「検索データ」を使えば、これからの流行予測も可能だと言います。2018年には、アイドルやお笑い芸人など、エンターテインメント分野の流行予測を行い、「Yahoo!検索トレンドマップ」として公開しました。ちなみに、2019年の漫画分野では、『鬼滅の刃』(集英社)が、マップ上の「ブレイクエリア」内で圧倒的に高い評価をとったのだとか。カンファレンス内では、同様の手法を用いて2020年に流行するかもしれないくつかのトレンド予測を発表しました。

「検索数はまだ少ないけれど、トレンド指数の上昇率が高いエリアは『ネクストブレイクエリア』と呼ばれます。この検索推移を追うことで、次に流行るトピックスを見つけることができるかもしれません」と話しました。

パートナーとのよりよい未来をつくるために

ストリーミング配信という形で実施された、2020年のパートナーカンファレンス。Yahoo!ニュースでは引き続き、パートナーとより良い関係を築いていきたいと考えています。

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