制服組トップ会談で露呈した「日米の差」…統幕の流出文書全文(その5)
デイリーNKジャパンは、統合幕僚監部(統幕)が作成して共産党に流出し、共産党の仁比聡平(にひそうへい)氏が2日の参院特別委員会で提示した資料の全文を入手した。
資料は、河野(かわの)克俊統幕長が昨年12月17、18両日の訪米で、米軍・国防総省幹部7人と会談した内容を記載したもの。
今回はそのうち、デンプシー統合参謀本部議長との、日米「制服組」トップ会談の内容を見てみたい。
河野氏のこのときの訪問で、デンプシー氏は会談相手としては6人目だ。先立って行われたオディエルノ陸軍参謀総長やワーク国防副長官、スウィフト海軍作戦部幕僚部長らとの会談では、各氏の専門分野について掘り下げて話し合った。
たとえば、オディエルノ氏は「エア・アサルト」「ストライカー部隊の投入」などの軍事用語を交え、尖閣諸島を念頭に置いた離島防衛について話している。
また、軍事行政や政策調整を担うワーク氏は、安倍自民党の安保法制の推進に期待を表明。尖閣問題に対する米国のコミットメントについても念を押して強調する熱心さだった。
一方、河野氏とスウィフト氏の議論はいまひとつ噛み合っていないのだが、スウィフト氏は尖閣問題について、持論を積極的に述べている。
それらの内容を踏まえ、河野氏はデンプシー氏との会談にどのように臨んだのか。
意外にも、最初の話題は日韓関係である。歴史問題の影響などから、日韓での防衛交流の停滞に苦慮している現実を訴え、デンプシー氏の懸け橋役を頼んでいるのである。デンプシー氏も、とりなしてみよう、との姿勢だ。
その一方、安保法制や尖閣問題については、デンプシー氏はこれといって印象的な発言をしていない。立場上、センシティブな問題であるとして言及を避けたのだろうか。いずれにせよ、政治的中立の原則を忘れ、米国で安倍自民党の衆院選勝利を宣伝しまくったあげく、その事実が漏れて国会やマスコミで叩かれまくっている日本のトップとは大違いである。