世界的に長期金利が低下、日本の10年債利回りもマイナス0.1%に
来日していた米国のトランプ大統領は安倍首相に「中国は困った。全然言うことを聞かない」と愚痴をこぼしていたようである(29日の日経新聞朝刊の記事より引用)。
トランプ大統領は27日にも、「米国は(中国と取引する)準備はできていない」と発言し、対中追加関税に対しても「大幅に上がるだろう」と述べていた。
三連休明けとなった28日の米国市場では、このトランプ大統領の発言を受けて、米中貿易摩擦が長引くとの見方があらためて強まり、ダウ平均は237ドル安となった。
注意すべきは米債の動きで、この日の米10年債利回りは米国と世界の景気減速が意識され、リスク回避の動きを強めて、2.26%と約1年8か月ぶりの水準に低下した。
これにより昨年11月あたりから続いている米10年債利回りの低下基調が継続する格好となって、2%が視野に入りつつある。
この長期金利の低下傾向はドイツなどでも鮮明になりつつあり、ドイツの10年債利回りは約3年ぶりの水準に低下してきている。また、スペインやポルトガルなどの国債利回りが過去最低水準に低下した。
FEBやECBは正常化にブレーキを掛けた格好となっているが、市場ではすでに利下げ期待も出てきているようである。
米中の貿易戦争は結果として米国を含めた世界経済にマイナスの影響を与えることは確かであり、それがどの程度影響してくるのかを今後見極めていくことになる。
日本の長期金利も低下基調とはなってはいるものの、すでにマイナスとなっていることに加え、海外投資家による買い圧力もそれほど大きくはないため、低下は緩やかなものとなっている。それでも10年債利回りはマイナス0.100%に低下し、債券先物も153円台を回復した。ただし、高値警戒感も強い。ここからの低下幅は限られるとみてはいるが、ドイツなど欧米の長期金利の動向次第では、日本の長期金利も一段と低下する可能性もないわけではない。