中田JAPANの初陣、ワールドグランプリは覚悟が問われる戦い
バレーボール全日本女子「中田JAPAN」が挑むワールドグランプリ。日本は「グループ1」(12チーム)に所属し、上位5チームと中国が進む決勝ラウンド(8月2~6日)進出を目指す。実戦に挑む中田JAPANが直面している課題とは? 「中田バレー」の形を作る上でカギとなるポジションは? ワールドグランプリは選手個々の「覚悟」が問われる場所でもある。
レセプションからの攻撃力強化が重要
中田監督も会見で話していたが、「レセプションからの決定率の低さ」というのは大きな課題だ。ラリーポイントだろうが、前のサイドアウト制の頃であろうがその大事さは変わらない。
私たちが日立でプレーしていた頃に一番練習していたのはサーブレシーブからの攻撃だった。様々なサーブを打ってもらい、そこから決める! というのを延々とやっていた。フォーメーションを変えていろいろなパターンでとにかく何度も何度も練習していた。
今のバレーでは「サーブレシーブからの攻撃」の占める位置や効果は違うかもしれないが、やはり基本はそれなんだと思う。今そこが日本の弱いところ。攻撃の決定力がどれだけ強化できるかがカギとなる。
リベロ、セッターは誰に?
あとはパーツ。リベロは誰がいいのか。レセプションアタックを強化するならば、きっちりとレセプションができなければいけない。そういう選手を使うのか、あるいはディグ(スパイクレシーブ)中心で選ぶのか。もちろん両方を兼ね備えた選手がふさわしいが、どちらも全部100%きっちりできるという選手はそうそういるわけではない。そういった意味ではリベロの人選が大事になってくる。
セッター、リベロそしてミドルブロッカーについては、中田監督は「早く固定したい」と言っている。「実際は(発表時に)もっと選手を絞りたかった」とも。なぜなら久光製薬でもほぼ同じメンバーでずっとやってきて強くなったからだ。
どれだけ同じメンバーでやるか。強いチームになるにはその時間が必要だ。そうすることによってできた、高さに対しての守りからのコンビネーション。それが日本の武器だった。久美さんはそういうものを再び作ろうとしているのだと感じた。もちろんその場その場でそのときに一番調子がいい選手を使うという戦い方もあるけれども、東京五輪まではあと3年しかない。だからこそ、早く「中田バレー」の形を作ることが大事になってくる。
ミドルを基点としたコンビバレー構築
そういった意味で久美さんが言っていたのは、まずは「ミドルブロッカーを基点としたコンビバレー」。ということは、結局はセッター。セッターに関しては特に厳しく見ていくだろうと思う。ただ、今のバレーはセッター個人だけの問題ではない。
そのセッターにはまっていく選手は誰なのか。久美さんの中でイメージとしては、宮下(遥)についてはリオオリンピックなどでも見ていただろうが、その他も含め、どのセッターがどのアタッカーとはまるのか、誰が「中田バレー」を組み立てることができるのか。久美さんの中でメンバーを早く固定したいという思いがあるので、セッターも早い段階で絞っていくだろう。
秋のグラチャンバレーで結果を出すにはベストな形が見つかった状況で臨まないと間に合わないと思うので、そういった部分も見ていきたいし、皆さんも注目してほしいと思う。
勝ちに行きながら厳しく意識改革
7月からのワールドグランプリも、久美さんの中では「勝ちに行く」試合。久美さんに「新たな選手をいろいろ使って試していくのですか?」と聞いたことがあったが、「とんでもない」と。「どの選手であってもとにかく勝ちに行く。勝ち味を知っていかないと東京オリンピックのメダルにはたどりつかないから」と言っていた。この選手、このメンバーでやったことがないからということを言い訳にしてはいけないと、中田監督は、実はそういう一番厳しい、女子ならではの厳しさを持って選手の意識改革を行うつもりでいる。
そういう久美さんの強い思いを選手がどれだけ理解するか。眞鍋さんの時からここ数年、全日本では「覚悟」という言葉が使われてきているが、本当にその覚悟を持ってきているか。選手それぞれが、ワールドグランプリから、それを問われるのではないかと思う。久美さんの中での選手の見極めも早いのではないかと思う。なぜなら(東京五輪まで)時間がないからだ。けっこう早いうちにいろんな形が見えてくるのではと思う。むしろそうしないと間に合わない。