SNSで大炎上の土佐市移住者カフェ、現地で起こっている事の総括と問題点
皆さんこんにちは!「豚に真珠」の豚ことヨッピーです!
写真は高知県の仁淀川(によどがわ)で泳ぎ狂っている僕です。いやー、高知は良いところです。本当に。夏の高知なんて最高!
さて先日、高知県土佐市にあるカフェ「ニールマーレ」を運営する「崖っぷちカフェ店長」からこういった告発がなされました。
この一連のマンガがTwitterにて鬼拡散された結果、22.4万RT、1.1億インプレッションという見たことない数字になっており、一時期のTwitterは「この話題で持ち切り!」みたいな事になっておりました。Twitterのアカウントを持っている人はみんな、一度くらいはタイムラインに流れてきたんじゃないでしょうか。
その結果、色んな人が色んな事を言い始めるのはともかく、土佐市の幼稚園に「子どもを誘拐する」といった内容のメールが届いたり、土佐市役所宛に爆破予告メールまで届く始末です。
そういった明らかな犯罪につきましては現在警察が捜査していることでしょうし、一刻も早く犯人に捕まって欲しいと思う一方で、現状では告発者の一方的な発信でしか物事が見えてこないため、現地取材を経て得た知見を自分なりにあれやこれやと整理してお伝えしようと思います。
死ぬほど長い文章になりましたがそれだけ根っこが深い証拠であるということで、どうかお付き合い頂きたく存じます。
〇時系列と事実関係の整理
話題になっているカフェ「ニールマーレ」が入居する観光交流施設「南風(まぜ)」は高知県土佐市の「新居(にい)」という集落にあります。
この建物の2階でカフェ「ニールマーレ」が営業しておりました。現在は休業中。
1階は地元の食材なんかを売る物販スペース。
新居は水質日本一にも選ばれた清流として知られる仁淀川(によどがわ)の河口付近にあるのですが、大雨が降る度に仁淀川の水が逆流して上流部の支川に流れ込み、その結果「波介川(はげがわ)」が氾濫を起こして土佐市の中心部が水浸しになっておりました。土佐市としてはたびたび起こる洪水被害に頭を悩まされ続けていたのであります。
これが仁淀川。とにかく綺麗で良いところなので全員行ってください。
この洪水被害を防ぐため国や県も巻き込みながら、大雨が降った際に波介川の水を河口まで逃がす導流路を整備する計画を立てたのですが、問題になるのはその導流路が新居の集落を直撃する事でありまして、新居に住む方々は立ち退かなければいけません。
「洪水対策」とは言え氾濫は上流部分で起こり、新居に直接被害が及ぶわけではないので「我々を犠牲にする気か!」という事で反対運動が起こります。もちろん怒って当然だと思います。この反対運動の住民側の窓口になったのが「新居を守る会」の方々です。
この波介川の治水工事については「土佐市百年の大計」と呼ばれるくらいに明治期から長年に渡って紆余曲折があった事業でして、当然一筋縄ではいかなかったのですが、最終的には国や県、市が地元住民からの要望を受け入れる形で合意に至りました。そしてその導流路が完成したのが平成24年です。
現市長の名前入りで立派な石碑まで建っとる。
完成以来、洪水被害が極端に減ったことで土佐市民の命と財産が守られる事になり、そのために引っ越しを余儀なくされた新居の住民の方々への補償も行われました。
そして立ち退く住民からの要望を叶える形で作られたのが今回の舞台となっている観光交流施設「南風(まぜ)」です。立ち退きとの交換条件で出来た施設と言って良いでしょう。土佐市だけではなく県や国からの予算も出ています。
こういった事例は日本全国に多々あるので特段これが問題だとは思っていません。それに昨今増えている豪雨被害を考えると、工事がなされていなかったら更に被害が広がったはずです。
よし工事も完了した。建物が出来た。良かった。じゃあこの建物を誰が運営するのか、という事になります。
「新居のための施設だから新居の人が運営したらよかろ」ということで、施設の管理を「新居を元気にする会」という地元住民の団体に任せることになります。
そしてこの「新居を元気にする会」の母体は前述の反対運動の住民側の窓口になっていた「新居を守る会」です。「新居を守る会」の役目が終わったため、改めて「元気にする会」と名称を変えてNPO法人を作り、そのNPO法人が管理することになった、という流れですね。
今回やり玉にあがっている理事長というのはこの「新居を元気にする会」の「現在の」理事長です。元々は「新居を守る会」の会長でもありました。
さて、そんな風に建物が出来て管理するNPO法人も決まった南風、1階は地元で獲れた野菜や魚介類などを販売する物販スペースとして運営されることになるのですが、2階では飲食店をやりたい、という要望が出ました。
しかしながら「新居を元気にする会」の会員は全て高齢者で飲食店経営の経験・ノウハウも無かったため、「誰かやってくれる人はおらんか」ということで市と一緒になって南風の2階スペースで飲食店を運営してくれる人材を探しはじめます。
そこで地域起こし協力隊を募集するにあたり、「飲食店の経験がある人」という要項を加えたところ、かねてより高知県が好きで、飲食店の経験もある永田さんが応募し、採用される事になります。
こちらがカフェオーナーこと永田さん。
永田さんは土佐市に来るまでは飲食店の運営・コンサルティングをする株式会社エスエルディーで働いていて飲食店のノウハウがあり、土佐市ではほかに対応出来る人も見つからなかったため「自分がやるしか無いのではないか」という事で土佐市及び「新居を元気にする会」から請われる形で企業組合アルバトーザを立ち上げ、そのアルバトーザが母体となって南風の2階でカフェ「ニールマーレ」の営業を開始します。これが2016年4月です。カフェが立ち上がって半年経ってから「カフェの運営に専念するため」という事で永田さんは地域起こし協力隊を退任。
この時点で既に雲行きが怪しいところはあったようです。どうも「新居を元気にする会」の現理事長は、「オレの言うことを聞き、オレの手足になってアイデアを実現してくれるやつに飲食店をやらせよう」くらいに思っていたフシがあります。オーナー気取りの発想ではありますが、いかんせん、「南風はワシが建てた」「南風はワシのもんや」などと吹聴していたという証言もあちこちから出ております。
現理事長は「2階でバイキング方式の農家レストランをやりたい」というような構想を持っていたようなのですが、まあ素人の僕が考えてもそれほど観光客も地域住民も多くない場所で、フードロスが大量に出そうなバイキング方式のお店というのは現実問題なかなか難しそうな気がしますし、この「バイキング方式の農家レストラン」という案については市の職員や永田さんが説得にあたって現理事長もいったん諦めたようなのですが、それが不満となって現理事長の中にしこりのように残り続けます。
そしてカフェが営業を開始してからも、スタッフの雇用からメニューまであれこれと経営・現場に口出ししてくる現理事長と、それをなんとか受け入れつつも是々非々で対応するカフェ側という構図で軋轢が出始め、「なんでオレの言う通りにせんのや」と面白くない現理事長はわりと早い段階から「南風を永田に乗っ取られた」というようなことをあちこちで吹聴していたようです。とはいえまだこの段階では関係が決裂、というところまで行っておりません。
一方でオープンしてからの「ニールマーレ」の営業は苦しいながらも順調で、地元からの評価も高く、口コミも増え、ファンと認知を獲得していきます。高知の大学が選ぶおすすめのカフェランキングで1位を獲ったり、高知県の企業団体から表彰されたりもしております。しかしながら日々のイザコザが積み重なって現理事長との軋轢はどんどん大きくなります。カフェ側は市の職員や地域の議員、地元の方々などに適宜相談していたとのことですが、解決には至りませんでした。
そして現理事長との関係決裂を決定的にしたのが2021年3月に現理事長から出された退去通告です。これは現理事長が総会の決議を経ず、独断でNPO法人の判子を押したものを持ってきたそうです。
他のNPO法人会員が「えっ、ニールマーレが出て行くの!?」とカフェ側に問い合わせた事で理事長の独断行動が発覚し、市の職員に相談したところ、「通告は無効だから無視していい」という回答を得たそうです。
そのおかげでいったんは急を逃れたのですが、2022年6月になると今度は市の職員がやってきて、「NPO法人総会の決議により、2023年4月以降の利用が不許可になりました」という通告がニールマーレに対して行われます。その後書面でも同内容のものが届きます。この退去通告は現理事長が他の会員の人に「永田とはもう2階を明け渡す事で合意してるから」と伝え、言わばだまし討ちするような形で署名を集めて作られたものです。
これも同じく「そんな決議には同意していない」と他のNPO法人会員の方から異議が出され、弁護士1人とNPO法人会員4名、市職員4名、ニールマーレ3名計12人が同席の上で、通告が無効であることを確認。市からNPO法人理事長に対して「退去通告を取り消すこと」という指示が出ました。
実際に出た通知。「業務の範囲を逸脱し」「規定に著しく反している」などと強い言葉が書かれています。
しかしながら2023年1月、今度は「南風」のFB上で4月以降の入居者を決める公募が行われる事が発表されます。
実際に投稿された内容。
ニールマーレは公募の実施に気付くのが遅れたそうですが、2月10日の締め切り2日前に事態を把握し、急遽書類を揃えて公募に申し込んだのですが、3月17日に行われた「新居を元気にする会」の総会の結果、ニールマーレは選から漏れて営業が出来なくなり、Twitterでの告発に至ります。
以上が事実関係及び時系列をざっと整理した内容です。
〇地元議員に話を聞いてみた
というわけで「色んな人に話を聞いてみよう」と、土佐市の市会議員である大森議員と村上議員のおふたりに話を聞きました。左が大森議員で右が村上議員。
ヨッピー
大騒ぎになってるかと思うんですが。
村上議員
いや本当に大変な騒ぎで。私らも色々言われますよ。「みんなショックを受けてます」とか「土佐市全体がそんな風に見られるのは困る」とかね。
大森議員
南風が出来たのは波介川の治水工事がきっかけでね、新居の振興策として南風が出来上がったら理事長は「南風は俺のもんや」くらいのことを言いよってね。私は「アンタのもんちゃうわ」って怒っちょったんよ。狭い土地やし、理事長は元々古い知り合いやから私なんかは「いかんことはいかん」言うて怒るでしょ。そうして怒りすぎたんかそのうち理事長に「大森は敵や!」って言われるようになりましたわ。
ヨッピー
その、南風の指定管理者を決めるにあたって、公募が行われずに直指定で「新居を元気にする会」に決められていますよね?それは議会で問題にならなかったんですか?
大森議員
それはなりませんでしたね。経緯からして新居の人達の要望と、新居の振興策として作られたのが南風ですから、新居の人らが運営するのが筋やろと思います。皆さんまともな人やったしね。理事の人もたくさんおったから問題ないやろという事でね。
でも騒ぎになって調べたら今は理事が3人しかおらんでしょう。「もっとおったはずやろ」って他の理事やってた人に聞いたら「今の理事長に退けられた」とか、知らん間にクビになっててそもそも今自分が理事じゃなくなってる事を知らんかったり。
村上議員
ニールマーレはほんまに頑張っててね。ものすごく評判も良いしお客さんも多かった。あちこちで表彰もされてますしね。ランキングサイトで土佐市の1位取ってたり。7年も頑張って、結果も出してる人を変えるって言うんやったらよっぽどの理由がないといかんでしょう。
大森議員
コロナがあって、3年間まともに営業もできんと我慢して我慢して、そんでやっとこれからや、っていうタイミングで「出て行け」でしょ。そりゃ納得いかんでしょうね。
ヨッピー
指定管理を「新居を元気にする会」から外す事は出来ないんでしょうか?
大森議員
指定管理は3年に1回見直しがあるんですね。南風の場合は来年の3月までやから、今年の12月の議会では提案出来るんですよ。「新居を元気にする会ではなく、ここに委託したらどうですか」って。
ヨッピー
つまり、新居の人達が「新居を元気にする会」ではない、新しい団体を作って手を挙げるって事ですね。
大森議員
そうです。今回こんな事になってね、新居の人らもそういう話をしてるっていうような事は聞いてますね。
村上議員
そもそも、南風が出来た時に、今の理事長は2階でバイキング方式の農家レストランをやりたかったらしくて、でも自分らにノウハウが無いからということで人を探していて、永田さんが元々飲食の人でノウハウもあるということでお願いしてやって貰う事にしたんですね。
ただ、当時議会の黒木議員も市長に質問してるんですけど、南風は観光交流施設として国からの補助金を貰って建ててるので、商業施設ではなくあくまで観光と交流のための施設なんです。
そこで商売するとなると「稼ぎ過ぎたらあかんよ」とか色々制約が出て面倒臭いから、黒木議員は「国からの補助金1億2,000万を返して、ちゃんとお金を稼げるように制約を外した方が良いんじゃないか」というような提案をしてるんですね。
※長い議事録ですが、黒木議員の発言部分を参照
ヨッピー
それは聞いた事があります。だから国交省や県の監査が入る時はカフェのスペースを減らしつつ、お客さんが来たら「いらっしゃいませ」ではなく「こんにちは」って言うように市から言われたとか。商売してるって国から見られるとまずいんでしょうね。
大森議員
そう。パパっと席だけ減らしてね。
村上議員
こういうややこしい経緯があるから今回みたいな事になってるんじゃないかなって思います。契約書も無いんでしょう。
大森議員
本来は1年契約ですけど、飲食やるってなったら1年やそこらで結果出るわけないですからね。評判作るのに何年もかかるし。しかもニールマーレはちゃんと結果も出してるでしょう。それを急にほっぽりだすなんて事したらいかんと思います。
ヨッピー
差し出がましいことを言いますけど、公金が絡んでる地元の話である以上、議員であるお二人にも責任があると思いますよ。
村上議員
これ、監査入れんといかんのちゃいますか。
大森議員
そうやねえ……。私らも、出来る事はやるつもりでおります。頑張ります。
〇新居を元気にする会の会員さんの話 その1
続いてお話を聞いたのは「新居を元気にする会」の現役会員の方です。年齢性別その他一切を非公開にしますので土佐名物、美味しそうなカツオのタタキの写真をご覧ください。
ヨッピー
現理事長が「新居を元気にする会」を私物化している、という話がありますが。
会員さんA
それはその通りです。私らは長い付き合いなんですけど、元々は優しくてシャイな人でね。昔はあんな人じゃなかったんやけど……。南風が出来てからだいぶ変わりましたね。
そもそもね、南風が出来た時の「新居を元気にする会」の理事長は違う人やったんですよ。とはいえみんな仕事もあるしね。そんなに熱心に南風に行かれへんから今の理事長だけが熱心に通って口出ししてたみたいで。
ところが急に、元理事長の名前で総会の呼び出しがかかってね、なんや思って行ったら理事長を解任するための総会やったんですよ。元々の理事長もそんな内容の会だと思わずに参加していて、わけのわからない内に解任されたそうです。解任された理事長は「頼まれて理事長を引き受けたのに」って大変に怒っていました。
理事だって、NPOを立ち上げた時は11人いたはずなんですが、亡くなったり、今の理事長のやり方に不満を持って辞めたり、知らない間に理事を解任されたり。今は理事長1人、副理事2人の3人ですがそれも理事長の独断です。
そして会計報告もちゃんとされていません。監事の人が「ちゃんと会計報告せえ」って今の理事長に詰め寄った事があるんですけど、結局「これでは正確な監査が出来ん」と怒って辞めてね。もうボロボロですわ。
ほんまにね、永田くんはよく頑張ってくれてね。こっちがお願いしてやってくれてる人やのにこんな事になって本当に申し訳ないなと思っています。
ヨッピー
2023年3月17日、次期入居者を決めた時の話を教えてください。
会員さんA
私はね、長い付き合いやし1%くらいは仲間としての情があったから、会員を続けてたんですけどね。それもプッツン切れてしまったのがその時です。そもそも公募の仕方も急でニールマーレに連絡も入れんとだまし討ちみたいなやりかたでしょ。しかも次に入る会社は理事長の知り合いでね。
それで総会に行ったら一方の会社は褒めちぎり、ニールマーレの事は悪口ばかり並べられてて、永田くんの事を「よそもんが」「波介川事業にも関わってないような人間が」とこきおろすような始末で、あまりにも一方的でしょう。
それなのに、私ですら見たことないような人がその場におって採決に入ってるんですよ。それに理事長側は委任状を3通持ってきてたんですけど、その委任状も知らん人の名前がありました。結局知らん内に会員を増やして多数派を取れるように工作してたんでしょうね。それが悔しくて悔しくて……。だから、あの理事長だけはなんとかせないかんと思います。私物化以外の何物でもありません。
〇新居を元気にする会の会員さんの話 その2
同じく年齢性別その他一切非公開なので仁淀川の清流をお楽しみください。
ヨッピー
現理事長がだまし討ちみたいな形で元理事長を解任したという話を聞いたのですが。
会員さんB
そんな事無いですよ。元理事長も現理事長も二人三脚でずっとやってたから、別にどっちが代表で、とかそんなに深く考えるようなものでもないですしね。話し合いをして特に問題もなく変わったという認識です。
ヨッピー
でも、元理事長は今でもえらく怒ってらっしゃるんですよね。
会員さんB
うーん、それはねえ。なんでそんな事になってるのかは私にもよくわかりません。
ヨッピー
3月17日、次の入居者を決める際に普段見かけないような人まで評決に参加していたという話についてはいかがでしょう。
会員さんB
そんな事はないです。みんな地元の人です。ちゃんと規約にのっとって審査した結果ですよ。私はね、新居がもっと良くなるような会社に入って欲しいなと思ってるんです。ニールマーレは確かに観光客が来てたかもしれませんけど、地元の人は行きませんもん。新居の施設やのに、新居の人らにとって使いづらいようなお店やったら意味ないでしょう。ちゃんと地元に貢献してくれるような人にやって欲しいなという想いがあるんです。
永田くんが頑張ってくれてたのは知ってますよ。一生懸命で可愛い子でね。でも、新居にとってどっちが良いか考えて公平に選んだ結果ですから。ちゃんと規約にのっとった形でやらせて頂きました。
ヨッピー
とは言え、頼まれて7年間もやってきたのに、別の入居者が3月17日に決定されて通知がニールマーレに届いたのが3月24日、1週間後の4月から明け渡せっていうのはあまりにも拙速ではないかという印象を受けます。
会員さんB
うーん、それは確かにそうですけど……。
〇理事長に突撃
「新居を元気にする会」は電話が繋がらず、メールアドレスなども公開されていないため、現場で現理事長にお話を聞く事にしました。
ヨッピー
理事長すいません、少しお話を……。
理事長
もうね、弁護士から「勝手な事すんな」って言われててね。答えられません。
ヨッピー
言いたいこともたくさんあるんじゃないですか。
理事長
そりゃありますよ。事実じゃないんですもん。デタラメじゃないですか。ちゃんとわかってくれる人がいますから。崖っぷち店長とかあんなん常識も無いでしょう。
ヨッピー
事実関係を確認出来たらと思ってるんですが……。
理事長
とにかく、弁護士から言われてて今は何にも言えません。そのうち何かで発表しますから待っててください。
というわけでコメントは断られてしまいました。
……と思いきや取材を終えて東京に戻ってきたタイミングで現理事長から電話がかかってきましてですね。諸々のことについて色々とお話を聞こうとしたのですが、一方的に言いたい事をまくしたてる感じで、
理事長「よそもんには関係なかろうが」
僕「国のお金が入っている以上、すべての国民にとって無関係ではないです」
あたりから怒りはじめ、「お前の会社に乗り込んでやろうか」「どうケジメつけるんだ」「ここに来て直接言ってみろ」などと怒鳴られたので、負けじと「東京に来るならいつでもどうぞ」「なんなら僕がもう1回そっちに行くんで、現地の人を集めてジャッジして貰いましょう」「日程決めてくれたらすぐ行きますよ」「いつですか」「いつやるんですか」って元気よく言い返し続けていたら結局切られてしまいました。これを理解してるから弁護士が「何もしゃべるな」って口止めしてたんだろうな……。
〇土佐市に話を聞こう
取材中、現地で食べた海鮮丼。お味噌汁つきで800円というお値段に驚愕しました。美味すぎる。
同じように土佐市の担当職員にも取材を申し込んだのですが、「個別の事案には答えられない」という回答。
よってメールにて質問状を送らせて頂きました。
土佐市の担当課長宛に送った質問事項を列挙します。
〇2021年3月に出された退去通告について
現理事長が不正に押印した退去通告を企業組合アルバトーザに提出した際、
アルバトーザ側から相談を受けた建設課の職員が「無効だから無視して良い」と答えた、という事実はあるのでしょうか
〇2022年6月に出された退去通告について
同じく現理事長から出された2023年3月を期限とした退去通告を建設課の職員がニールマーレ側に口頭で説明した事は事実でしょうか。
また、その後弁護士同席の上、ニールマーレ側、NPO側、市職員側が協議して後日届いた退去通告を撤回させた事は事実でしょうか。
〇契約書の不在について
企業組合アルバトーザ及びNPO法人「新居を元気にする会」の間で契約書が不在となっている件について、土佐市側はいつから把握していたのでしょうか。
及び契約書不在の状態で営業が為されていた事については適切な措置だとお考えでしょうか。
〇NPO団体「新居を元気にする会」の会計報告について
「新居を元気にする会」の当時の会員である××氏が現理事長である〇〇氏に会計報告を求めたものの、その後報告が為されなかったため怒って辞めてしまったという話を聞きました。その上で「新居を元気にする会」が土佐市側に提出している事業報告書等に現時点での不備はないと考えているのでしょうか。
〇南風2階の利用実態について
ニールマーレが営業する南風2階について、国交省の監査が入る時のみ、
・客席を減らしてスペースを空ける
・利用者に「いらっしゃいませ」ではなく「こんにちは」と声をかける
といった指導が市の職員からニールマーレ側に行われていた、という証言が複数あがっています。事実でしょうか。
これに対して返ってきた返答は以下の通り。
予想通りのゼロ回答!
そしてHPに掲載されている市長のコメントがこちら。
こちらもやはり、ゼロ回答です。
〇そして崖っぷち店長の話
店長
なにはともあれ、まずは「田舎ってこうなんですか?」という田舎全体をおとしめるような文言をTwitterに載せてしまった事を謝らなければいけないなと思ってます。私も田舎の出身なのに……。
あの時は本当にどうしようもなくて、悔しくて悔しくて、とにかく色んな人にこの話を知って欲しいと思って、つい強い言葉を使ってしまいました。まさかここまで大きな反響になるとは思ってなくて、土佐市全体がTwitterで悪く言われたり、誘拐予告や爆破予告まで来てしまって色んな人に迷惑をかけるような事態になったことは本当に申し訳なく思ってます。
私自身この土佐市が大好きですし、色んな方にお世話にもなりました。そういった方々にもご迷惑をおかけするような形になって本当にすいませんでした。
ヨッピー
今後はどうされるんでしょうか。
店長
続けたい気持ちはありますが、契約書が無い時点で勝ち目はないのはわかっているので移転も視野に入れて考えてます。もし地域の人達が新しいNPO法人を作って指定管理を変えるにしてもまだ先の話ですしね。私たちもギリギリの給料でやってるので何もせんまま待ってるわけにもいかないじゃないですか。
ただ、これがまかりとおる世の中であって良いのか、同じ事はもう繰り返して欲しくない、という気持ちで告発する事にしたんですね。このままだとまた同じような事が起こってしまうじゃないですか。一番許せないのは市側の対応です。市からお願いされて営業してたのに、こうなったら知らんぷりでしょ。私らも何かあるたびに逐一報告してましたし、市側も状況を知ってたくせに、そんなひどい話はありますか。
ヨッピー
7年間もやってたんですもんね。
店長
永田は元々地域起こし協力隊として土佐市に来て、任期を満了して起業するとなると本当は補助金が100万円出るんですけど、頼まれてニールマーレに専念することになったからその補助金も貰えなかったんですよ。そのことについて担当課長に「力不足で申し訳ない」って謝られたぐらいなのに。それで7年間頑張って営業を続けて、でもこうなったら「こっちは知りません」って結局使い捨てじゃないですか。
そして、移住者と現地の人達の争い、みたいな構図で見られがちなんですけど、ニールマーレで働いているスタッフには地元の若い人達も居ますし、社員のひとりは新居に産まれて新居を愛してる地元の人間なんですよ。こういう人達も急な退去で働く場所を失っているこということを知って欲しいです。
〇問題点の整理
色んな人からお話を伺いしましたが、いかんせん根っこが深い話ですし、立場によってとらえ方も変わってくるため「どちらかが悪で、どちらかが善」といった画一的な見方は出来ないのではないかと思います。それを踏まえてそれぞれの問題について整理します。
・NPO法人「新居を元気にする会」の問題
まず、NPO法人側の問題です。現理事長のセクハラやパワハラについては証拠があるわけではありませんし、私物化している、という話についても会員の中ですら意見が割れるのでなんとも言えない話ではありますが、少なくとも「新居を元気にする会」が南風の指定管理を受けることが出来るのは「新居住民を代表する」という立場だからでしょう。
それなのに「南風はワシのもんや」という言動が現理事長によって繰り返されているという証言が多方面から出てたり、総会の承認を経ずに独断で退去通告を出したりしている事から考えて現理事長に「新居住民を代表する」という立場の適正があるかどうかに疑念が残ることや、長年の顔なじみの高齢者しかいない、10人やそこらのNPO法人の中ですら意見が割れている実情を鑑みて、「新居を元気にする会」の意見がそのまま新居住民代表する意見だと見ることはもう出来ないのではないかと思います。
更に、2023年4月26日には、「南風」の物販スペースに商品を提供する生産者及び利用者である地元住民計91名の署名が市長宛に届けられています。
字が小さいので書き出しますと、
・商品管理が杜撰であること
・新居を盛り上げるイベントや施策に取り組む姿勢が見えないこと
・施設周辺、及び施設内の清掃がなされてないこと
・これらの改善要求に対して理事長が聞く耳を持たないこと
などが指摘されており、現理事長体制下の「新居を元気にする会」に対し、市から改善命令を出すように求めたものです。市長は受け取りもせずに突っ返したそうですが、利用者から署名運動まで起こされたらもう、管理者としての適性を問われても仕方がないでしょう。
次こそは直指定ではなく、公募など適正な手続きを経て、新居の方々の意見をちゃんと吸い上げられる団体が管理するべきではないかと思います。
・カフェ側の問題
そしてカフェ側の問題です。
カフェを営業するにあたって必要な設備等は市の持ち出しで整備されており、建物や駐車場も市の管理下にあり、結局のところハード面は全て借り物にすぎません。投資リスクを負ってない以上、借り物の箱で営業する以上、契約書が無いことも含めて弱い立場になりえる事はある意味当然で、その点を認識していなかった事は率直に言って「甘い」と言わざるを得ないなと思っております。
もし、土地建物のオーナーが行政ではなく民間企業であったなら今回のような事態になっても争う余地すらなかったでしょう。
また、告発する際に強い言葉を使いすぎた事は店長さんも反省しているところですが、他にもSNSを使った告発について、「これはやり方がよくなかったな」と思うところはたくさんあります。ただし本筋とは少しずれるので、その辺はのちほどまとめて書かせて頂きます。
・行政の問題
そして最後に行政の問題です。これが一番大きいと思います。
そもそも「南風」という建物がものすごくややこしい性質を持っています。「南風」は建前上、国交省の補助金も入って建てられた、「観光拠点情報・交流施設」です。
観光拠点情報・交流施設とは、国交省の資料によると、
①観光拠点に関する情報提供
②観光拠点に関連した交流機会の提供を目的としたもの
③訪日外国人を含む不特定多数の観光客が随時かつ快適に利用できるもの
とされています。
要するに観光案内所みたいなものを想定しており、営利目的の商業利用はここに含まれず、収益も「施設の維持管理に必要な程度」しか認められません。
議員さんのお話でも出ていますが、当時の土佐市議会で本件が問題視されていて、「国からの補助金1億2,000万を返してこういった制約を外した方が良いのではないか」という提案もなされています。なので本来、こういった場所で飲食店を大々的に営業するのには無理があります。だからこそ査察が入るたびに座席数を減らす、なんて工作をするんでしょう。これ、行政主導の交付金詐欺と言われても反論出来ないくらいの大きな問題ではないでしょうか。
今回、契約書が無いことも問題とされていますが、行政財産については一部の例外を除いて私権を設定できない、つまり法律上賃貸借契約が出来ません。契約書が無いのではなく、そもそも契約が出来ない物件なのです。これについては犬山市議の久世高裕議員もSNSで指摘されていた通りです。
もし賃貸借契約が結べるのであれば借り主の権利はけっこう強力に保護されるので、一方的な立ち退きその他について争う余地も出てきますが、今回の南風は行政財産であるため「使用許可」という借り主の立場が弱い契約しか結べません。例えば賃貸借契約なら複数年に渡った契約も可能ですが、使用許可は原則1年以内で都度更新という形になります。
更に、「南風」には国・高知県・土佐市のお金が入っているわけですから本来、南風は国民の財産であり高知県民の財産であり土佐市民の財産です。しかしながら経緯からして「新居の人達が立ち退いた代わりに」という事で出来上がった施設でもあるので、新居の人達からすると「あれは新居のもん」という事になります。
「南風は観光交流施設」という建前に従うのであれば、観光客が集まるニールマーレの営業方針は正しいとも言えるのですが、「南風は新居住民のためのもの」という見方をすると「観光客より地域住民が使いやすい店にするべき」という主張も筋が通っています。
こういう複雑な経緯で出来上がっている建物なのに、入居時に行政側からニールマーレに対する説明が十分に出来ていたのか、適切に指導が出来ていたのかは大いに議論する余地があると思います。
ニールマーレ永田さんは「補助金頼りではなく、ちゃんと収益を産むお店を作って地域の負担を減らしたい」という市側の説明に納得してはじめた、という事をおっしゃっていましたが、そもそも賃貸借契約が結べない建物である事、そして使用許可契約では賃貸借契約に比べて借り主の権利が保護されづらいことなどはトラブルになるまで知らなかったようです。これは行政の説明不足でしょう。
また、「新居を元気にする会」に対しても、「あれは行政施設だから商業利用は出来ない」という事を行政側が周知してなかったんじゃないでしょうか。住民からの要望で出来た以上、建物が出来上がる前から「飲食店を入れたい」いう話は出ていたはずです。その際に「今から建てる建物だと商業利用出来ませんよ」と言ってしまうとまた話がこじれるので、ナアナアで済ませたのではないかと。ニールマーレ側にも、NPO側にも、その場しのぎの良い顔ばっかりしていたせいでこういう事態になってるのではないでしょうか。
前述の「1億2,000万を国に返して制約を外したほうが良いのではないか」という指摘をした黒木議員は、質問の最後をこう結んでいます。
「これをそのまま進めよったらえらいことになる可能性が高い。そのことを警告して、質問を終わります」
まさに黒木議員の指摘通りの事態になっているわけです。その上で今回の事態に対して市長側は「責任の一端を感じる」などと言っておりますが、警告されたとはいえ結局のところ議会で承認され、市長が進めたわけですから、責任の一端どころかまんま議会と市長の責任でしょう。矢面に立たされる市の職員さんたちも可哀想です。
そのあたりをはっきり自覚した上で問題にあたって頂きたいところです。この問題を指摘された黒木議員はもう引退されているとのことですが、黒木議員が現役であればもう少し違った形になっていたかもしれないと思うと残念で仕方ありません。
まとめ
そんなわけで長々と書いてきましたが、国交省や高知県などがお金を出している以上、税金が適切に使われているかの監督責任が市はもちろん国や県にもあります。事実関係その他をきっちり調査して適切に対処して頂きたいところです。
「新居を活性化するために」という目的で作られた建物が、こうやって地元の人達の火種になっていることはなんとも皮肉めいた結果ではありますが、これを乗り越えて更に良い施設になってゆく事を願っております。とにかく高知は良いところなので。
そして本件についてはいまだSNS上であれこれ言われ続けており、犯罪予告はもとより、一部にはデマとしか言いようがないような内容で他者を攻撃するような人まで現れており、SNSの怖さみたいなものを浮き彫りにした事案でもあるな、と思っております。
僕自身もSNSの力を借りて企業の不正を告発した事がありますし、こういった事例は散々見てきたので老婆心ながらあれこれと心得めいたものを書かせて頂きます。
・主語を大きくしない
今回の事例で言うと「田舎はこうなんですか?」など田舎全体を貶めるような書き方をするのは良くありません。
ほかにも「女ってこうだよね」とか「男ってこうだよね」とか、一部の事例を性別全体にあてはめて書いてしまった結果反感を買って炎上してしまうケースはたくさんあります。
例えば自分の夫がまったく家事育児をしないからと言って、「男ってほんと家事育児しないよねー!」という愚痴を呟いたとして、それが僕のタイムラインに流れてきたら割と家事育児を頑張ってるつもりの僕は「男が全部そうじゃないわ!」って腹が立ちますし。
だからそういう場合は「ウチの旦那が家事育児しなくて~」くらいに主語を縮めて呟くのが良いと思います。
移住者vs地元のコミュニティみたいな構図は今回以外にもよくニュースというか話題になりますが、全部が全部対立してるわけじゃなく、移住者と地元のコミュニティがうまく協力して盛り上がりつつある町だってたくさんありますしね。徳島の神山町とか。
・とにかく証拠を
告発する時にモノを言うのが、誰が見てもそれとわかる証拠です。
パワハラ・セクハラに関わらず、相手の非を糾弾するならとにかく証拠を残しておきましょう。録音・録画などなんでも良いですが、客観的な証拠を抑えてない限り、告発しても不利になるケースはたくさんあります。
・事実と憶測、感想は分けて書く
今回の事例で言えば漫画の中にある「市役所はNPOに恩があるので文句が言えない」「土佐市はそのNPO法人に頭が上がらなくなりました」なんかは憶測であって事実であると断定できるものではありません。それなのに事実であるかのように「頭が上がらなくなりました」などと断定的に書いてしまうと告発全体の信ぴょう性まで薄れてしまいます。
このへんも気を付けたいところです。
・周囲の人に相談を
そして今回のように関係者が多数居て、どこまで話が広がるか見えないような場合は告発する前に、告発内容を事前に見せるなりしてとにかく周囲の人に相談する事です。出来れば弁護士などにも一度相談して、仮に裁判沙汰になった時に不利になってしまうような事は書かないでおくのがベターです。
以上、なんかものすごく偉そうな事を書いてしまって恐縮ですが、何かしらの理不尽があって「告発したい!」と思ってる人は一度、僕に相談してみてください。お金をよこせなんて言いませんので、その主張が正当なものである限り精一杯の事は協力させて頂くつもりです。
SNSは用法・用量を正しく守り、適切に使っていきましょう。
大変な長文になってしまいましたが、本件にかかりっきりになっていたせいでゼルダの新作にぜんぜん手をつけられていないので、そろそろ「残った仕事を全部無視する」という斬新なメソッドを駆使してハイラル王国に飛び立とうと思います。
現場からは以上です。
(ヨッピー)