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石原さとみはなぜ、“世界で最も美しい顔100人の32位”になれたのか?

齋藤薫美容ジャーナリスト・エッセイスト

すでに24回目になるという“世界規模の美人番付”があるのをご存知だろうか? アメリカの映画情報サイト主催の「世界で最も美しい顔100人」。“顔だちのバランス”などを客観的に見て、その完成度によって100人が選ばれるというものである。

日本人のランクインは、2010年の佐々木希が初めて。その後、蛯原友里や黒木メイサ、桐谷美玲もランクインしたが、今年の100人には過去最高の6人の名があがった。99位に上戸彩、60位に浜崎あゆみ、56位に島崎遥香(AKB48)……さらに桐谷美玲46位、佐々木希41位、そして今回日本人で最高位32位をとったのが、石原さとみだった。

意見はいろいろあるだろう。この人の方が美人、いやこの人の方が……という。しかし、少なくとも石原さとみに佐々木希、そして桐谷美玲の上位3名には明快な共通点が認められる。顔の中に清潔感とエロティシズムが両方あるということである。

言うまでもなく、石原さとみは“たらこ唇”、佐々木希は“マシュマロ唇”、桐谷美玲は“めくれ唇”と、全員唇がエロティック。しかし全体には少女顔というバランスだ。顔の端正さというより、そういうアンバランスの勝利なのである。

もっともネットでのユーザー投票により決まることを考えると、やっぱり偏りはあるのだろうし、今年の1位はマリオン・コティヤール。彼女をもともと美人女優と捉えていないメディアもあるぐらいの個性派だが、組織票とは考えにくい。という具合に欧米女優の順位を見ても、“本当の評価”と“組織票”が入り混じっているように見えてならない。

ちなみに韓国からは14人もランクインしていて、最高位のNaNa(アフタースクール)はなんと全体の2位。しかも14人がいずれも、目もとのすっきりした韓国美人らしい顔なのは圧巻。こちらもまさに清潔感とエロティシズムが、上手に混じり合った顔ばかり。世界に通用するアジアの美人顔は、やっぱりこの二面性がマストなのだ。

それにしても14人とは! 100人中14人の偏りは一見不自然だが、ゴルフ界での台頭を見てもわかるように、役割が明快な分だけとてつもない集中力を見せる韓国のこと。美人の輸出でも彼らは日本を圧倒する気なのである。

少なくとも、清潔エロティックというアジア美人への世界的ニーズは、もうとっくに掴んでいて、そこはホントに見事。同じアイドルでも日本のアイドルには求められない色気が、あちらのアイドルにはちゃんとある。そういう意味で太刀打ちできるのは、石原さとみくらいしかいなかったということか。

ふと、由紀さおりが海外で突如30年ぶりに大ブレイクしたことを思い出した。あれもきっかけは、若い頃のレコードジャケットの“美しさ”がキーマンの目に止まったことだった。小づくり顔に宿るのは、確かに清潔感とエロティシズム。世界が求めるのは今まさにこの顔なのだ。

どちらにせよ、評価を得るアジア美人にバタくさい顔は一人もいない。美人顔の黄金比に当てはまる美人の評価も低い。黄金美人よりも、多少のファニーフェイスの方が清潔エロティックが際立つということなのだろう。きれいな肌と少しエッチな唇、これだけで条件は満たされるのだ。

日本でアンケートをとると、未だに“吉永小百合”がNo.1になったりするのも、日本をしょって立つ美人がまだいないから? この謎の多いランキングも、そういう意味での新しい目安にはなるはずだ。

何のかんの言っても、美人顔には世界共通の基準も採点法もない。ミスコンのように3サイズも問われない。だから、まさしく言ったもん勝ちのジャンル。100人のほとんどが、美人と言われれば、なるほどそうなのかもしれないと納得できてしまう。それが美人という概念の不思議なところ。

でもだから、女は誰も諦めなくていいのだ、美人になることを。美人と言われる日を。

美容ジャーナリスト・エッセイスト

女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストへ。女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『されど“男”は愛おしい』』(講談社)他、『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。

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