新型コロナか…北朝鮮「大爆発事故」現場で疑惑渦巻く
北朝鮮では、新型コロナウイルスの感染が広がっているとの話が絶えない中、中国との密輸に関わっていた北朝鮮の50代男性が死亡した。新型ウイルスに感染していたのではないかとの疑いが浮上し、当局が確認に追われれていると現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。
北朝鮮は1月28日、中国で拡大する新型コロナウイルスによる感染症「COVID-19」の国内流入を防ぐために、中国との貿易を全面的に停止する措置を取ったが、新義州(シニジュ)の南隣にある龍川(リョンチョン)に住む50代男性は、それ以降も船に乗って中国の業者から品物を受け取る形で密輸を続けていた。
ちなみに龍川は、2004年春に起きた爆発事故の現場だ。中国を訪問した金正日総書記が特別列車での帰路上で、小学生ら1500人を巻き込んだ謎の大爆発が起きたのだ。この出来事はいまもって、「暗殺計画」の可能性をはらむミステリーとして語られている。
(参考記事:1500人死傷に8千棟が吹き飛ぶ…北朝鮮「謎の大爆発」事故)
50代男性は今月第2週に体調を崩し、発熱、咳などのインフルエンザの症状が出た。風邪薬を飲んで自宅で休養していたが、一向に良くならず、結局発病から1週間後の16日に亡くなった。
町では「新型コロナウイルスに感染して亡くなった」との噂が立ち、朝鮮労働党龍川郡委員会と防疫委員会が調査に乗り出した。「気管支喘息を長年患い、免疫力が低下した状態でインフルエンザに罹患し、肺炎で死亡した」との調査結果を発表した。
しかし当局は男性が亡くなってわずか5時間後に遺体を火葬し、家族も病院に入院させたことから、むしろ噂が広まる結果を生み出した。
龍川と国境の川を挟んで向かい合う中国の遼寧省では、24日の時点で121人の感染者が報告され、うち7人が丹東市での報告だが、すでに6人が完治して退院している。また、省内では17日以降新たな感染者は発生していない。
龍川に隣接する新義州と義州(ウィジュ)では、先月末から今月初めにかけて、5人が原因不明の高熱で死亡している。
北朝鮮は今のところ、自国で新型コロナウイルスの感染者が発生したと認めていない。国営メディアは、韓国でのウイルス拡散について報じているものの、自国で発生している死亡事例については一切触れていない。