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松山英樹、第2戦の棄権を決意。

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
初日の早朝、練習場で球を打った直後に棄権を決意した松山英樹。

米ツアーの2013―2014年シーズン第2戦、シュライナーズホスピタル・オープン(米ネバダ州ラスベガス)に出場予定だった松山英樹が、初日のスタート前、練習上で球を打った直後、疲労による胃炎のため、棄権を決めた。

松山はラスベガス入りしてから腹痛を訴え、火曜日の練習ラウンド中も痛みで顔をしかめるなどしていた。水曜日はコースに姿を現さず、休養して体調回復に努めていた。

そして、早朝からスタートする初日の朝、日の出前から練習場で球を打ち始めたが、「球を打ってみて、だるさが抜けない。体が思うように動かない」ということで、棄権を決意。米ツアー側に意志を伝え、すぐさまコースを去った。

関係者によれば、「今週、今のところは病院には行っていない」とのことで、病名は不明だ。考えられるのは、心身の疲労だ。

松山は今回の渡米後、まずプレジデンツカップに出場。世界選抜チームの一員として重責を担いながらのプレーは松山の心身に重くのしかかったはずだ。

大会終了後、オハイオ州からカリフォルニア州へすぐさま移動し、開幕戦のフライズコム・オープンに出場。優勝を狙う位置で戦い、3位に食い込んだのは立派な成績だったが、緊張が張り詰めた状態だった4日間の戦いは松山の心身をむしばんだようだ。

体調管理、調整はアスリートの当然の仕事と認識している松山は、日頃から自らの体調不良や疲労を滅多に口にせず、「疲れてませんか?」「体調は大丈夫?」などと質問されると、憮然としながら「大丈夫です」「問題ないです」「体調管理できなかったら自分の責任ですから」と返答してきた。

だが、今回の体調不良は、そうやって言い返せるレベルを超えるほどのものだったようで、ついに腹痛を表情や言葉で表現し、棄権せざるを得ないところまで追い込まれてしまった。

とはいえ、無理を押して試合に出て、めちゃめちゃのプレーぶりを見せることになったり、体調悪化がプロアスリートとして命取りになったりという、もっと悪い状況を回避するためには、ここでスタートせずに棄権するという決断は、もしかしたら英断に値することになるのかもしれない。

先週の開幕戦で3位になり、せっかくゴルフの調子もノリノリというところで、第2戦を棄権するのは選手としては辛いところ。

関係者を通じて出された松山の声明。

「残念ですけど、欠場(=棄権)を決めました。来週(のCIMBクラシック)からは出場の予定。一度日本に帰るかどうかは今から決めます」とのこと。

今を犠牲にして、未来に生かし、未来につなげる。そう考えれば、棄権の決断は、きっと英断だったと、後々、思えるはず。いや、そう思えるように、彼はきっとそうするはずだ。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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