「石炭密輸で稼いだ外貨、軍に流入」北朝鮮内部から証言
北朝鮮が、国連安全保障理事会が主導する経済制裁をかいくぐり、石炭を密輸している状況が継続的に捕捉されている中で、当局がこうして稼いだ外貨の一部が朝鮮人民軍(北朝鮮軍)に流れ込んでいるもようだとする証言が出た。
「骨と皮だけ」女性兵士の暴走
平壌の情報筋はデイリーNKの電話取材に対し、「国内産の石炭を積んだトラックが続々と南浦(ナムポ)港に向かっている。本来なら石炭の輸出はできないが、密輸が行われているのは事実だ」と述べた。
情報筋はまた、「石炭は中国に行っている」とし「人民軍の被服費を調達するために、党が石炭輸出を許可した」と付け加えた。
朝鮮人民軍は従来、各種の鉱山や炭鉱を傘下に収めて管理し、石炭や鉄鉱石、銅、ニッケル、亜鉛などの鉱物資源の輸出により巨額の外貨を稼いでいた。ところが2017年、国連安保理で対北朝鮮制裁2397号採択されたことにより、石炭の輸出が全面禁止され、北朝鮮人民軍の外貨収入が急減したことが知られている。
北朝鮮が最近、石炭密輸で稼いだ外貨を実際に人民軍の軍服作りに当てているかは明確でないが、一定部分が軍の体制維持費に使用されているのは確かだと思われる。
北朝鮮の内部事情に明るいある脱北者は「石炭の密輸で稼いだ外貨を人民軍の軍服作りに使うというのは名目に過ぎないはずだ。人民軍が対北制裁により、独自の外貨稼ぎをできずにいる状況であるため、軍服以外にもカネを必要としている部門はいくらでもある」と述べた。
実際、制裁下に置かれながら、北朝鮮が何故ああも頻繁に短距離弾道ミサイルの発射実験をできるのか不思議なくらいだ。しかも旧式を消化しているわけでもなく、発射されているのはいずれも新開発のものばかりだ。
金正恩党委員長が、少ない資源を弾道ミサイル類に集中投資する戦略を取っているのは明らかだが、密輸により得た外貨を回さない限りは不可能であると思われる。その一方、軍の末端兵士らは相変わらず、飢えや虐待に苦しんでいるもようだ。ほとんど「骨と皮」だけになった女性兵士が軍の禁忌を破り、大問題になったとの情報もある。
(参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為)
いくら新型の弾道ミサイルを揃えたところで、軍紀が崩壊してしまっては、国防は成り立たないと思うのだが。