夜明けの如く毎日がココから明るくなっていくようなそんなラーメン店にしたいと言う店主の思いが詰まる物語
横浜生まれの梅崎梨夏さん(以下「うめりなちゃん」と表記)。ラーメンという商売に惹かれたのは大学生の頃。一風堂でアルバイトをして、「ラーメンが美味しくなるには接客も重要だ」と学び、美味しさだけでなく楽しさや幸福感、その時の思い出など、美味しさの美学について深く理解しました。
「人」を大切にすることが、お店を繁盛させる源であると感じた彼女は、ラーメン屋になることを決意。そこから有名ラーメン店やフレンチ、和食店で修行を積み、人生を変える大きな出会いを経験しました。
人との出会いが私の全てかもしれない
「大学時代のアルバイトは一風堂です。一風堂バイト時代の店長さんからは、お客様との距離感や活気あふれるお店の在り方を学びました。そこで学んだことも多かったですが、既存のメニューしか作れないと思い、勉強したくて料理の道へ飛び出しました。」フレンチと和食割烹の有名店には学びたかった技法があり、そこに挑戦することを決意。若い女性が夢を定め、厳しい修行に挑むそのバイタリティーがスゴイと感心しています!
和食時代にスカウトされたから今がある
和食の勉強している時に、『Tsurumen Davis』の大西さんからDMで「Tsurumen系列の日本店の準備が進んでいるので、働いてもらえないか」というお誘いがありました。この出会いと決断が、うめりなちゃんの夢の実現を加速させました。
『Tsurumen Tokyo』として期間限定で開業したラーメン屋。それが現在の『しののめヌードル』の場所だったのです。そこで店長を任され任期を満了した時、大西さんから「ここでやってみたら?来てくださっていたお客様もいらっしゃるし、始めるにはいいチャンスではないか?」と声を掛けられました。もう少し修行をしたいと思っていたうめりなちゃんでしたが、ここで決心し、2022年5月7日に創業したのです。
食へのこだわり
うま味調味料を使わず、優しく美味しいラーメンを目指し、塩と醤油を基本のラーメンとして提供しています。さらに、限定商品も出しながらお客様を飽きさせないようにメニューを考案。その中でも人気なのは「まぜそば」です。まぜそばはナッツとトマトを仕込んだ独特のソースで、フレンチや和食を学んだからこその技が光ります。豊富な引き出しから生まれるチャレンジ精神の表れです。
さて、塩ラーメンと醤油ラーメンのどちらが気を遣うか?という質問をうめりなちゃんに投げかけてみました。多くのラーメン屋さんでは「塩」が難しいと言われます。シンプルな分だけ気を遣う部分が多いからです。しかし、うめりなちゃんは真逆で、塩よりも醤油の方が難しいと言うのです。それは、重ね合わせた味わいがブレないようにするための調整が大変だからだそうです。彼女は自分の納得いく味とシビアに向き合い、「安心感があり、食べてホッとする、それでいてちゃんと美味しい」というコンセプトを大切にしています。
今回も厨房内に潜入調査
今回は厨房内に潜入し、作る手順まで見学させていただきました。これが森本スタイルになりつつありますが、取材の際にNGを出していただいても構いませんので、その点は追記しておきます。
和食の技法も取り入れたスープ
スープに関してはお客様の身体への負担を考えて作っているので塩加減を控えめにしています。しかし、出汁の旨みをしっかり感じてもらえるよう工夫されており、お客様の身体に負担をかけないよう心がけています。体にスッと入ってくるスープを目指し、日々研究を重ねているそうです。
スープと共存すべき麺
京都の老舗製麺所「麺屋棣鄂」さんから作っていただいている麺は多加水で中太です。この麺は、一口食べた瞬間に『お!』と思わせるような食感と、ちょっとした"驚き"が気に入っています。
こだわりの逸品が勢揃いしたトッピング
トッピングにもこだわりが詰まっています。肩ロースのチャーシューは血抜き、血管抜き、筋切りをして、さらに色々な処理をした後、タレに漬け込んだものを吊るし焼きにするという手間のかけようで私好みの美味しさでした。また、特製ラーメンには山椒を入れたつくねをのせているのも珍しいトッピングですね。センターに鎮座するふんわり盛られた白ネギ盛られた良いアクセントになっています。
味玉が二種類?
しののめヌードルには、2種類の味玉があります。ひとつは塩玉子、もうひとつは燻製玉子です。この燻製玉子には特にこだわりがあり、チップではなく藁焼きで薫をつけています。
和食で学んだ技法をふんだんに取り入れているのがしののめの特徴です。しかしながら、この薫も優しく程よく付けられており、存在感はありながらも主張しすぎず、他の味を邪魔することはありません。塩ラーメンにおすすめの逸品です。
ビール党が選んだビールは?
入り口入った所にあるドリンクコーナー。まず目に入るのは可愛らしいウォーターサーバーで、お水はセルフサービスです。その上にずらりと並ぶ、あまり見かけない可愛らしい瓶はなんと地ビールでした。「ガハハビール」という江東区にあるクラフトビールで、お客様の紹介で気に入り、速攻で足を運び、販売に至ったそうです。エール系の爽やかで甘味のある味わいがラーメンとマッチすると言います。
そして「赤星」もここにありますね!
写真には写っていませんが、その横には女性店主らしく貸し出し用のブランケットも用意されています。こんな心遣いも嬉しいです。
どのラーメン店でもこだわりはすごいと思いますが、それぞれのラーメン店でこだわる部分が違うから楽しませてもらえています。だから、ラーメンってやめられないんです。
しののめヌードルには、益々繁盛していただき、女性目線のラーメンに対する熱き思いをお客様に捧げてほしいです。
【うめりなちゃんに一問一答】
Q1:ラーメン店をするにあたって一番心に刻まれている言葉ってありますか?
A1:一風堂の面接時の質問で、『ありがとう』といつ感じ、どのような時に伝えていますか?という問いにハッとしました。
Q2:ラーメンの理想ってありますか?そして達成度は?
A2:味は醤油と塩のオーソドックスなものが理想です。まだ100点ではないので、少しでもブレを無くせるように日々努力しています。
Q3:将来像は?
A3:現在は1店舗で精一杯ですが、物価高騰や値上げに打撃を受ける中でも、飲食業の良さを一人でも多くの方に伝えていきたい。夢を与えられるお店を作っていきたいと考えています。
【編集後記】
ラーメンに対する真摯な姿勢が生み出した数々の経験。それを元に、一心にラーメンを作り続ける女性店主にカッコ良さと日本の未来を変えるビジョンが見えました。若い頃には特技がなく、それがコンプレックスだったと語るうめりなちゃん。一風堂でのアルバイトを契機に、「ラーメン屋さんになる」という目標に向かって挑戦し続けた結果、夢を叶えるための努力の積み重ねが実を結びました。お客様を大切にしつつも、一杯のラーメンに真摯に向き合う職人の姿を見て、女性店主の覚悟と情熱の深さを感じるインタビューとなりました。
2024年8月9日より、大阪市梅田の一風堂梅田店2階にある「人類みな麺道」にてポップアップ営業を行います。今回はラーメンではなく、限定メニューでも大人気の「まぜそば」でのチャレンジです。一風堂とのコラボ企画にお声がけいただき、大変嬉しく思い、即座にお引き受けしました。大阪で「しののめヌードル」の味をお伝えできることに感謝しています。ラーメン屋になるきっかけを作ってくださった一風堂への恩返しの気持ちで臨んでいます。
私の考える「まぜそば」は、一般的なものとは少し異なります。ナッツとトマトをベースに、自家製の食べる辣油も自信作です。230gの麺量があり、飽きが来ないように途中で土佐酢をかけたり、さらに七味を加えたりする三重奏の味わいが特徴です。個人的にはお酒のおつまみとしても楽しんでいただけると思います。
ぜひ、ポップアップイベントにお越しいただき、今までにない「まぜそば」をお楽しみください。
※平素の業務があるため、調理は一風堂のスタッフの皆様にお任せしています。ご了承ください。
【店舗情報】
しののめヌードル
住所:東京都目江東区亀戸3-45-18 MAP
URL:Instagram/X(旧Twitter)
営業時間:11:30〜14:45(L.O)18:00〜20:00(L.O)
売切次第、早仕舞い有り。
定休日:基本、木金休み
※営業カレンダーをご確認ください。
ご注意!高額紙幣は使用できません。