男性564万人、女性144万人…パチンコの利用実情をさぐる(2024年公開版)
パチンコ人口は707.5万人
大人の娯楽として認知度の高いパチンコだが、昨今では周辺環境に与える影響やギャンブル性の高さなどを受け、厳しい立場にあるのも否めない。現状ではどのような人たちがパチンコを利用しているのだろうか。今回は総務省統計局の「令和3年社会生活基本調査」(※)の結果を用い、その実情を確認する
次に示すのは直近となる2021年時点において、過去1年間に1日でもパチンコを利用したことがある人(行動者)の人数と、各属性人口に対する比率。例えば男性総数では10.3%とあるので、10歳以上の男性のうち10.3%が過去1年間に1日以上パチンコを利用したと回答している。
パチンコ人口は707.5万人。男性が563.7万人で女性は143.8万人。年齢階層別では男性は40代後半がもっとも多く、次いで30代後半、50代前半と続く。40代後半が突出しているが、それ以外はおおよそ30代から50代まで大きな違いは無い。他方女性は最大人数を示しているのは50代前半の15.2万人で、次いで30代後半、40代後半と続く。現役世代で一定数がパチンコをしている状況は男性と変わりないが人数そのものが少ないのが、男性とは異なる点ではある。
対人口比でも傾向はさほど変わりない。しかし男女共にピークが若年層(男性は30代前半、女性は20代後半)となっており、パチンコ人口そのものとは違いを見せる。これは各年齢階層の人口そのものが大きく異なっているのが原因。
ライフステージ別での動向は
続いてライフステージ別の動向を確認する。具体的には学生か、独身か結婚しているか、そして結婚していた場合には子供が居るか居ないか別の、パチンコの利用動向を見るものである。男女で大きな違いがあるため、男女それぞれに区分して別途行動者率を算出している(比較しやすいように男女間で縦軸は揃えてある)。
まず男性。ほとんどの場合、有業者の方が無業者よりも行動者率は高い。金銭的な問題か、仕事でのストレス発散の機会としてパチンコを利用しているのだろうか。年齢階層別で独身では64歳までは有業者では1割台を維持するが、65歳以上でやや落ちる。無業者では65歳以上では45~64歳と比べてほとんど差異が無い。
子供が居ない世帯では有業者は35歳未満がピーク、無業者では35~44歳がピーク。他方子供が居る世帯では、有業者は子供の就学先の種類と行動者率に関係は見られない。無業者の場合は子供が就学前と高校生で値が大きくなる傾向がある。
女性は男性と比べて有業・無業を問わず行動者率は低い。独身では有業者が45~64歳がピークなのに対し、無業者は45~64歳がピーク。結婚をしている場合、おおよそ子供が居ない方が居る方よりも行動者率は低くなる。育児を考えれば当然かもしれない。子供が居る世帯の女性の場合、子供の就学先の種類と行動者率との間に関係はなさそうだ。子供有り夫婦では有業者・無業者を問わず、子供が就学前が一番大きな値であることに、驚きを覚える人もいるかもしれない。ストレス発散のためか、育児をする必要があったとしても、パチンコをする人はするということなのか。
ハードパチンカーは32.8万人
今調査では1年間を通して1日でもパチンコを利用した人だけでなく、利用頻度についても尋ねており、いくつかの区分で実情を確認できる。そのうち、一番利用頻度が高い項目「年に200日以上(週に4日以上)」に該当する人を集計したのが次のグラフ。
10歳以上全体比では男性は0.5%、女性は0.1%。総数は男性25.7万人、女性7.1万人、合わせて32.8万人。多いのか少ないのか微妙なところだが、閉店の日や気象状況、年末年始のお休みなどを併せ考えると、ほぼ毎日通っている人がこれだけ居ることになる。
比率も人数もほぼ同じ傾向で、男女ともに20代後半と30代前半、そして定年退職の年齢前後でやや多め。棒グラフの伸び具合とパチンコの常連として見かけそうな人たちの年齢を想像すると、妙にリアルな話として理解できよう。
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※令和3年社会生活基本調査
国勢調査の調査区のうち、総務大臣の指定する約7600調査区に対して行われたもので、指定調査区から選定した約9万1000世帯に居住する10歳以上の世帯員約19万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2021年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2021年10月16日から10月24日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と、調査員への提出あるいはインターネットでの回答による回収方式。
調査は5年おきに実施されており、過去の調査もほぼ同様の様式で行われている。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
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