不安障害の症状をセルフチェック!心配性とは違う「ポイント」について
こんにちは、精神科医しょうです。
みなさんは、『不安障害』という病気をご存じでしょうか。
不安障害とは、人間に備わっている不安の感情が過剰になり自分ではコントロールができない症状のことをいいます。
強い不安によって毎日の生活に支障がでている場合は、不安障害の可能性があります。
今回は不安障害のセルフチェック方法、不安障害が起こるよくあるケースについて紹介します。
不安障害セルフチェックリスト
特定の状況に対して強い不安や恐怖、緊張を感じることを不安障害といいます。
今の自分の症状について、当てはまるものがあるかチェックしてみましょう。
・注目を浴びる場所で発言することに不安を感じる
・よく知らない人や初対面の人と会食をすると緊張する
・人に見られながら仕事や作業をすることに不安を感じる
・人が見ている場所で字を書くと手が震えてうまく書けない
・公衆用のトイレで用を足すとき緊張や不安を感じる
・知らない人と同じ部屋で試験を受けることに不安を感じる
・人を誘うことに対して不安を感じる
・長時間にわたって不安や恐怖を感じることがある
・日常の中で、起こりもしない悪い想像をして不安や恐怖を感じる
これらの症状が長期間にわたって持続し、日常生活や仕事に支障がでている場合は不安障害を発症している可能性が高いです。
しかし、上記のチェック項目だけでは必ずしも不安障害であるとはいえないので、気になる方は早めに病院に受診することをおすすめします。
不安障害とは?
強い不安や緊張によって、日常生活や社会活動に支障をきたしていることを不安障害といいます。
本来、不安や緊張というものは警戒を促して危険から身を守るために備わっている機能のひとつですが、その信号が過剰になりすぎてしまった結果、不安障害を発症してしまいます。
不安障害の明確な原因はまだわかっていませんが、遺伝的な傾向や個々のストレス反応などが原因として考えられています。
環境的要因と心理的要因
不安障害を発症する要因として、環境的要因と心理的要因の2つについて解説します。
環境的要因は、家族内や職場などの環境に対する不安、社会的な圧力などが影響しています。
心理的要因は、不安や恐怖を引き起こす思考パターンが自分の中で決まっている、過去のトラウマ、自己評価の低さなどが関係しています。
これらの要因が絡み合ったり、相互に影響し合って不安障害を引き起こす可能性があります。
不安障害の回避行動とは?
不安障害がある人は、不安や緊張を感じやすい特定の状況を避ける行動をとる傾向(回避行動)があります。
たとえば大事な発表会があるときに休んでしまったり、会食に誘われても断ってしまうなどといった行動が回避行動に含まれます。
しかしこのような回避行動は、「不安を回避した瞬間」は良くても根本的な解決にはつながっていないため、長い目で見ると不安障害を悪化させる危険性があります。
回避行動によって良好な人間関係の構築が難しくなる、仕事において一部の業務に支障がでるなど、生きづらさを強く感じて悩んでいる人も多いです。
不安障害のよくあるケース
会議やプレゼンで強い緊張を感じる
会議やプレゼンなど、人前で発言しなければならない場面のときに手足の震えや発汗、声の震えによって発言がままならなくなるのは社交不安障害の人によくあるケースです。
そして、一度失敗した経験によって「また身体が震えてうまくいかないかもしれない」「変に思われるかもしれない」という恐怖心が芽生え、予期不安を引き起こし悪循環を繰り返してしまうことがあります。
他の人に相談しても「緊張しやすいだけ」「あがり症」などの性格の問題で片付けられてしまうことが多く、苦痛を分かってもらえずに孤独を感じる傾向があります。
場数を踏めば緊張しなくなるという人もいますが、不安障害を抱えている人は、「慣れる」ことが難しいため、無理矢理経験を積もうとしてかえって症状を悪化させてしまう可能性があるので注意が必要です。
飲み会などの集まりの場に強い不安を感じる
不安障害の人は、飲み会や会食などの社交的な場で極度の緊張や不安を感じることがあります。
食べているところを他の人に見られていると緊張して手が震えたり、自分の立てる音が気になって喉が詰まるような感覚を覚えるのが特徴です。
ほかにも、お酌をするときや乾杯するときに手が震えたり、料理に手を付けることができないなど症状は人それぞれです。
楽しそうに振舞うことが難しいため、周りの人に迷惑をかけているかもしれないと思い悩み、次第に人前で食事することを避けるようになります。
見られていると仕事ができない
上司に仕事している様子を見られていると緊張してミスばかり連発してしまうのも、不安障害のよくある特徴です。
タイピングの手が震えたり、報告しようとしても声が震えてうまく説明できないなど、不安障害の症状によって業務に大きな影響がでます。
同僚の目が気になって電話対応ができない、取引先の人にお茶を出そうとすると手が震えるなど、悩みの種類は多岐にわたります。
実際に注目されているわけではないと頭ではわかっていても、身体が危険を感じて反応してしまうので自分ではコントロールできないという特徴が見られます。
不安障害の症状によって引きこもりがちになる
通勤電車に乗ることに苦痛を感じる、美容院に行けない、エレベーターなどの狭い空間にいるとパニックになるなど、不安障害の人は日常の中の多くのシチュエーションで不安を感じています。
しかし、そんな不安障害の悩みを周囲に打ち明けても理解してもらえないことが多いため、本人も性格の問題なのかもしれないと思い込んで、病院に受診することをためらう人がとても多いのが現状です。
「話しても分かってもらえない」「また怖い思いをするかもしれない」という不安な気持ちでいっぱいになり、仕事を辞めたり外出を避けるようになるなど引きこもりがちになってしまいます。
さらに症状が深刻化すると、うつ病やアルコール依存症などの他のこころの病気を併発する恐れがあります。
不安障害の人が生きやすくなるためには?
「周りの人は当たり前にできていることが自分にはできない」というつらい思いを抱えている不安障害の人が多いかと思います。
できないことや自分の症状について周囲に伝えても、理解されずに悲しい思いをしたことのある人も中にはいるのではないでしょうか。
しかし、周りの人から協力と理解を得ることは不安障害の人にとって大切なことです。
身近な人に打ち明けることが難しい場合は、無理をせずに心療内科やカウンセラーに相談しましょう。
不安障害かもしれないと思ったときは
「不安障害かもしれない」と思ったときは、症状が深刻化する前に早めに病院で診てもらうことが大切です。
薬物療法や認知行動療法などを用いて、不安な気持ちを和らげる治療を中心に行うことで、普通の生活ができるようになる可能性があります。
もし職場で不安障害の症状が出ている場合は、退職や転職を考える前にまずは一度上司に相談してみましょう。
来客対応や電話対応を控える、会議での発言をなるべく少なくしてもらうなど配慮してもらうことができれば、不安障害であっても働き続けることができます。
「わがままだと思われるかもしれない」と思わずに、自分の症状について説明することは業務上大切なことだと割り切って相談するようにしましょう。
職場だけではなく、友人と遊ぶときであっても「こういう場面が苦手」だということをあらかじめ伝えておくことも自分の心を守るために大切です。
まとめ
不安障害とは、強い不安や緊張感などが長期間にわたって持続し、それにより生活に支障がでる精神疾患です。
不安障害を持っている人は、他人に症状や悩みを理解してもらえることが少なく、「周りの人は普通なのに自分だけがおかしい」と自己否定の感情を抱えてしまいがちです。
しかし、医師のもとで適切な治療を受けることによって普通の生活を送れるようになる可能性は十分にあるので、ひとりで悩まずにまずは近くの病院に相談してみましょう。
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