5日にドル円が141円台を付けるなど、急激な円高の要因を探る
5日の東京市場はまれに見る展開となった。日経平均株価は4451円安となり、ブラックマンデー翌日の1987年10月20日の3836円安を超えて、過去最大となった。
米景気の先行き警戒感によるドル売りとともに株安もあり、リスク回避による円高ともなって、5日にドル円は一時141円台に上昇した。
そして5日の日本の債券は米国債が買われたことや、リスク回避の動きも加わって、債券先物は2円を超す上昇となった。
今回は外為市場におけるドル円の動きに注目してみたい。今回の急激な円高の要因として、日銀による利上げを指摘する声もあった。
ドル円が動く要因はいくつもある。日米金利差だけでなく、地政学的リスク、需給バランス、日本と米国のそれぞれの景気や物価動向、中央銀行のスタンスの違い等々。
しかし、ここにきてのドル円の動きはやはり日米の金利差によるところが大きい。というよりも日銀の0.25%程度の利上げによる影響そのものは極めて限定的であった。
日本の長期金利も一時1.1%まで上昇したとはいえ、日米金利差(長期金利ベース)では米長期金利の動きの方がより影響を与えていることも事実である。
結果として今回の円高については米長期金利の低下が主な要因であろう。7月1日以降のドル円と米長期金利を比較しても、連動性があることが窺える。そこに円キャリートレードを行っていた海外勢によるポジション調整による円買いドル売りが加わり、円高のピッチが速まった。
これをみても今回の円高は日銀の利上げが主要因ではない。